侍ジャパンのリードオフマンとして打撃だけでなくスーパープレーでも勝利に貢献した「たっちゃん」こと、ラーズ・ヌートバー選手のスゴさをWBCで日本代表監督を務めた栗山英樹氏が語った。
【映像】ヌートバーからのメッセージに涙する瞬間
栗山氏と石橋貴明がトークを展開するなか、ヌートバーからのVTRメッセージを紹介。ヌートバーは「栗山さんから『100年後も語られる経験になる』と言われ、自分が参加することで『日系人選手への扉を開こう』と。だから自分も全力でプレーをしようと決心したよ」と当時の胸中を回顧。
そして「常に他人を思いやり、謙虚な姿勢の監督のおかげで、自分らしくプレーすることができた。他の選手もそうだと思う。それが優勝につながったんだ。謙虚さとアグレッシブな姿勢の両面を持つすばらしい監督でした。WBCのおかげで人生が変わった。すべて栗山さんのおかげだよ。本当に感謝しています。ありがとう」と、敬意を込めた言葉を栗山氏に送った。
栗山氏は「ヌートバーも、実はあんなにいいやつで優しそうにしていたんですけど、後ろで準備のときに、1人で吠えまくって。要するに初めて日本に出る日系人の選手というのは、相当プレッシャーがあったと思うんです。逆にプレッシャーかけすぎたなあ…っていうのもちょっとあったんですけど、本当に良かったですね」と振り返った。
石橋は「僕は日本ラウンドを全部観たんですけど、あの第一打席ですよね」とコメント。WBC1次ラウンドプールBで中国と対戦した際、先頭打者のヌートバーは初球をセンター前にヒットし、日本の勢いに火を着けた。
栗山氏が「はい! もう…」と応じると、石橋は「1番バッターでこういうファイターな選手はいいなあって。グッとドームの緊張感が、一気にあそこからグワッと燃えましたもんね」と熱弁を振るった。
「だってあの試合、大谷さんが1回のマウンドに上がったとき、シーンとしていましたもんね」と、会場が異様な雰囲気だったと指摘した石橋は「だから観ている側も緊張しちゃっていて。これはやっている選手、もっと緊張しているんだろうなと思って」と相当な重圧だったのではないかと推察した。
栗山氏は「大会を通して一番うれしかった瞬間が、いまタカさんが言ったヌートバーの第一打席のヒットなんです、あの初球の」と明かすと「あんなにうれしかったことはなかったです。『これで普通に野球がやれるかもしれない』と」と、侍ジャパンの命運を左右した一発だったと語った。