将棋日本シリーズJTプロ公式戦の1回戦第3局が7月22日、静岡県静岡市の「ツインメッセ静岡 北館大展示場」で行われ、佐藤天彦九段(35)が稲葉陽八段(34)に183手で勝利して2回戦進出を決めた。次戦は9月16日、香川県高松市の「サンメッセ香川 大展示場」で優勝3回の実力を誇る渡辺明九段(39)と対戦する。
3年ぶり6回目の出場となった佐藤九段が、強敵・稲葉八段を破り2回戦進出を決めた。本局はやや変則的な横歩取りの出だしから力戦に。早指し戦ながら互いにじっくりと時間を使ったスローペースの進行となった。じりじりとした中盤戦から稲葉八段が攻勢に出て抜け出したかと思われたが、攻めのターンが佐藤九段に回った瞬間に形勢を逆転。激しい攻防戦の中で互いに技を繰り出す激戦へと発展した。
稲葉九段は巧みに攻めをつないで反撃のチャンスを狙ったが、佐藤九段は玉を上部に上がる絶妙なバランス感覚でポイントを積み上げていく。盤面を広く使った戦いから、互いに決め手を与えない高い技術を見せて終盤へともつれ込んだ。稲葉八段の粘りに丁寧に応じていた佐藤九段だったが、最後は上部に逃げ出す後手玉を馬と銀で封鎖し勝負あり。佐藤九段が180手を超える大熱戦を制し2回戦進出を決めた。
勝利した佐藤九段は「序盤は勝ちやすい将棋にできないかと模索していたが、駒を使いすぎてしまって冴えなかった。その後は大きく離されないようにという感じだったが、最終盤は王様の周りを手厚くして優勢な時間が長かったが、中盤戦が難しい将棋だった」とコメント。稲葉八段は「途中良くなかったかなと思ったが、うまくさせずに佐藤九段に手厚くされ、苦しい将棋となってしまった」と話した。
JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)