将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Eリーグ第3試合、チーム藤井とチーム渡辺の対戦が7月22日に放送された。藤井聡太竜王・名人（王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21）率いるチーム藤井は、渡辺明九段（39）のチーム渡辺に対し5戦ストレートのパーフェクトゲームを達成。チームメイトの澤田真吾七段（31）、齊藤裕也四段（26）と力を合わせて堂々予選首位通過を決め、「最高の形で予選を突破できたのですごく嬉しく思っています」と喜びを語った。また、藤井竜王・名人は個人で予選5戦全勝飾り「予選最高成績賞」にも輝いた。
【映像】パーフェクトゲームとなった予選第3試合を振り返る藤井聡太竜王・名人
これが、王者の戦いぶりだ。初戦のチーム千田戦を5勝3敗で勝利したチーム藤井は、勢いそのままに予選最終戦の第3試合・チーム渡辺戦へ。第1局で澤田七段を送り込むと、新進気鋭・岡部怜央四段（24）との対戦となった。澤田七段は中飛車を採用すると岡部四段は左美濃に囲い、バランス対堅さの戦いに。ここでは澤田七段が経験の差を活かして相手の力を封じ込め、難解な将棋を押し切って勝利しチームに先勝をもたらした。
続く2戦目は藤井竜王・名人の兄弟子、齊藤四段が登場。名人経験者の渡辺九段との初対戦に向かった。齊藤四段は「（対戦できることが）光栄、だけじゃだめなんですよね」と気を引き締め対局場へ。先手番で中飛車をぶつけて渡辺九段の攻めを誘った。齊藤四段が受けに回ったことでペースを握ったのは渡辺九段。そのまま押し切るかと思われたが、▲1七玉からマジックのような玉の動きを見せた齊藤四段が大熱戦の末に勝利。第2試合では2戦2敗と初日が出なかったうっ憤を晴らすように、大金星をもぎ取った。
チームメイトの作ってくれた流れに乗り、いよいよ藤井竜王・名人が登場。佐々木勇気八段（28）と相掛かりの最新形の将棋に展開した。「途中はあまり良くない攻め方をしてしまったが、最後時間が残っていたのでそのアドバンテージを活かすことができた」と藤井竜王・名人が110手で勝利。この勝利でチーム藤井の予選突破が決定し、リーダーの藤井竜王・名人は「前回大会で本戦トーナメントに進めなかったのはやっぱり心残りだった。本戦の舞台に進めることを嬉しく思いますし、楽しみです」と嬉しそうに笑った。
もう勢いは止まらない。第4局では再び澤田七段が登板すると、超早指し戦のフィッシャールールを攻略したと言わんばかりの差し回しで相手の岡部四段を再び圧倒。相掛かり戦で序盤からペースを握ると、現代将棋らしい柔軟な将棋を見せてチーム4勝目を挙げた。完全勝利を決めるべく、第5局に立ち上がったのは藤井竜王・名人だった。ここでも佐々木八段との対戦となると、藤井竜王・名人の得意戦法「角換わり」の一戦を122手で勝利。チームメイトと力を合わせてパーフェクトゲームを決めてみせた。
チーム千田、チーム渡辺にそれぞれ勝利し、2連勝で堂々予選首位突破を決めたリーダーの藤井竜王・名人は、「チームとしてもだんだん調子を上げることができて、最高の形で予選を突破できたのですごく嬉しく思っています」と満足気だった。修行時代から親交のある先輩・澤田七段と兄弟子・齊藤四段とチームを組んだことで例年以上に笑顔が多かった藤井竜王・名人。「今までとは違った楽しさがあって、控室でも今まで以上にリラックスして気持ち良くできたなと思っています」と笑った。
次なる戦いはさらに厳しい戦いが予想される本戦トーナメント。チーム康光対チーム斎藤の勝者との対戦となるが、2期ぶり5度目の大会優勝に向けて何としても前進したいところだ。藤井竜王・名人は「良い流れを活かしつつ、良い将棋が指せるように頑張っていきたいなと思います」と意気込みを語った。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
