付き合いも深く、長くなってくると、いろいろと“素の顔”も見えてくる。棋士においては、そんな性格と指し手もリンクしてくるようだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Eリーグ第3試合、チーム藤井とチーム渡辺の対戦が7月22日に放送された。チーム渡辺の佐々木勇気八段(28)は今期から順位戦A級に参戦している実力者。若くからその才能を見出され、いずれはタイトル戦にも登場するだろうと言われているが、人懐っこくもあり、かつ自由な性格も将棋界では有名だ。佐々木八段が一風変わった手を指した際、リーダー渡辺明九段(39)が「わかってきましたよ、この人の行動が」とつぶやくと、プライベートでのエピソードを紹介し、ファンの大笑いを招くことになった。
佐々木八段は藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)がデビュー以来継続していた連勝を「29」で止めたイケメン棋士として一躍有名になった。破竹の勢いでタイトルホルダー、将棋界の頂点に君臨した藤井竜王・名人の後を追うように、佐々木八段も着実に棋力をつけて勝ち上がると、昨期ついにB級1組を抜けてA級入り。八段昇格も果たし、いよいよ名人挑戦も狙えるところまで登ってきた。プライベートでは渡辺九段をはじめ交友関係が広く、棋士によるクラブ活動にも多く参加している。物怖じをしないせいか、先輩棋士からもかわいがられている。渡辺九段、さらに今回チームメイトとなった岡部怜央四段(24)とは一緒にマラソン大会に出たり、サウナに行ったりする間柄だ。
佐々木八段の“素の顔”が急に世に知られたのが第3局の最中。佐々木八段は藤井竜王・名人と熱戦を繰り広げていたが、やや押され気味と判断したのか、控室で見ていた渡辺九段と岡部四段が全く予想もしていなかった受けの一手を選択した。これには2人もびっくりだ。
渡辺九段 わかってきましたよ、この人の行動が。なんか「それ、今言うの?」みたいなことを言うよね。店とかで店員さんに、明らかにないだろそれ、みたいなのを言うとかさ(笑)。
どうやら一緒に行った飲食店などで、一般的に考えたらほぼないだろうものを、店員に聞いて注文しようとしたようだ。このひとことにファンは「的確な読みだなー」「勇気好き放題言われまくってて草」「やっぱなべ好きだわ」と即座に盛り上がったが、この後に続いた岡部四段のひとことで、さらに過熱することになった。
岡部四段 それ、得意技なんですよ(笑)。
佐々木八段が“弟分”のようにかわいがる岡部四段の証言だけに、かなり信憑性がある。「得意技」というからには1回、2回ではなく複数回、同じようなことがあったものと思われる。燃料が投下された仰天エピソードに、ファンはもうひと盛り上がりしていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)