後頭部にパンチの報復合戦にローブロー…不穏な試合は両者を止めに入ったレフェリーが背後からフックをモロ被弾してドクターチェックを受ける異常事態に発展。我が目を疑うシーンにK-1レジェンドの魔裟斗は「レフェリーの後頭部だ!」と思わず声を上げ、会場に問題のシーンのリプレー映像が流れると、場内がどよめいた。
9月10日に横浜アリーナで開催された「ReBOOT~K-1 ReBIRTH~」、シナ・カリミアン(イラン)とクラウディオ・イストラテ(イタリア)の無差別級トーナメント・二回戦は、序盤に1ダウンを奪ったイストラテが判定勝ちを収めたが、反則と警告が飛び交う異例の展開となった。
トーナメント一回戦で大本命のマハムード・サッタリをKOしたイストラテと、長年新生K-1の重量級を牽引してきたカリミアンとの対決。1ラウンド、イストラテがジワジワとプレッシャーをかけ剛腕フックを連打し、早々にスタンディングダウンを奪う。ダメージは浅く試合に復帰したサッタリだが、108キロオーバー、初見参のイストラテの圧に飲み込まれる場面が目立つ。
劣勢だったカリミアンも2ラウンド開始直後、前蹴りをアゴに当て連打で対抗。しかしイストラテがクリンチの攻防で「後頭部を殴られた」と抗議して試合がストップする。
この展開にABEMAゲスト解説の魔裟斗は「クリンチ際でもヘビー級のパンチなら効きますからね」とイストラテの抗議の正当性を強調するが、このアピールを皮切りに試合は“やられたらやり返す”のケンカマッチに発展。
反則への”注意1”が与えられたカリミアンは、直後に打ち合いのなかロープを掴む反則。魔裟斗も「ちょっと試合が荒れてきましたね」と苦笑いすると、さらにカリミアンがローブローを入れ、その流れで左ハイを一閃するなど、再びストップ。
両者の感情がむき出しとなるファイトが、さらなる暴走の引き金となる。2ラウンド後半、ここで再びカリミアンが後頭部にポカポカと連打。レフェリーが制止すると、それを無視して追い打ちに一発。
明らかなカリミアンの反則行為に対してレフェリーが2度目警告。2ラウンド終了のゴングが鳴るも、これを無視して連打を放ったカリミアン。すかさず割って入ったレフェリーにまで背後から後頭部、テンプル付近に左右のフックを叩き込んだ。
レフェリーのもらい事故に魔裟斗も「レフェリーの後頭部だ!効きますよ無差別級のパンチですからね」と反則のオンパレードに絶句。「審判も命がけですね。度胸のいる行動です」とも述べ、レフェリーの勇気と行動力を称賛。その後、K-1でも異例のレフェリーへのドクターチェックが行われたが、レフェリーは苦笑いを浮かべつつ、場内の歓声にこたえて復帰した。
その後も抗議や減点が飛び交ったが、さらにカリミアンが仕返しの後頭部パンチを放つと、冷静に試合を解説していた魔裟斗も「またカリミアンが後頭部打ってますね…」と呆れた様子だった。
試合は3ラウンド判定でイストラテの判定勝ち。魔裟斗は「反則の減点が無ければ延長戦だったかも…まあどう考えてもダウンを取られたのと、マイナスポイントでカリミアンの負けですね」とケンカマッチの顛末に困惑気味だった。