ファーストコンタクトで魔裟斗が「大きくてスピードがある、機敏だ」とその才能を見抜いた重量級の新鋭が、右のクロスカウンターで1ラウンド衝撃KOを飾った。時間差で巨体が崩れ落ちるダウンシーンに「これは立てない」「テンプルに入った」と魔裟斗も興奮を隠せない様子だった。
9月10日に横浜アリーナで開催された「ReBOOT~K-1 ReBIRTH~」。ヴァレンティン・ボルディアヌ(ルーマニア)とリュウ・ツァー(中国)の対戦は、1ラウンド2分36秒、右のクロスカウンターでKO決着となった。
無差別級トーナメント一回戦は、旧K-1の強豪アレクセイ・イグナショフを倒した経験のあるルーマニアのキック3度優勝を誇るボルディアヌと、散打出身で中国のキックボクシング大会90キロ級で優勝実績のあるリュウの対戦となった。
すると身長195センチ、中国重量級の新鋭が初戦で大きなインパクトを残す。ファーストコンタクトから鋭いローとミドルに、この日のABEMA解説を務めた魔裟斗は「リュウはスピードがありますね、いいですね、機敏ですね」と好感触。
さらに魔裟斗は「選手紹介のビデオで(リュウは)スクワットでかなり重い重量を持っていたので、かなりパワーがあると思った」と印象を語る。スピードとパワーを兼ね備えたリュウは、ボルディアヌのパンチをかいくぐりカーフキックで足元から削っていく。
執拗なカーフキックを嫌ったボルディアヌの左足は真っ赤に腫れ上がっている。と1ラウンド終盤、リュウは下がりながらボルディアヌのパンチをかわすと、そこに右フックをクロスカウンターで放ってダウンを奪う。
座り込んで回復を試みるボルディアヌ。しかし魔裟斗は「右クロス。カウンター、これは効いてます。テンプルに入った。これは立てないんじゃないかな」と指摘。この魔裟斗の言葉のとおり、ボルディアヌは10カウントを聞いた。
スローリプレイではボルディアヌが右フックを振りかぶる瞬間に合わせ、リュウの倍速のような右フックがテンプルにグサリ。反撃の右は空を切り時間差で巨体が前から崩れ落ちる衝撃KOだった。
K-1の原点回帰ともいえる世界の重量級選手が数多くエントリーされた今回の大会。“重くて速い”リュウのインパクトあるKOシーンに視聴者も反応し「サッタリの上位互換のような選手」「こういうのを求めていた」「めちゃくちゃ強いな」と新たな強豪の登場に衝撃を受けていた。
また衝撃KOを飾ったリュウは二回戦でアリエル・マチャドを2ラウンドKOすると、決勝戦ではシナ・カリミアンを破った手負いのクラウディオ・イストラテを1ラウンド42秒で沈め、無差別級トーナメント王者に輝いた。