漫画アシスタントは失業し、原作者は超リッチに? 「漫画を描くAI」の破壊力
【映像】なぜ? AIが描くと「指が不自然」に

 AIに関するニュースを毎日のように耳にする昨今、ついに「AIが漫画を描く時代」が到来した。

【映像】なぜ? AIが描くと「指が不自然」に

 AIボイスチェンジャーによる声真似を岸田総理本人の前で披露したSF作家でAIスタートアップ創業者の安野貴博氏が次に目をつけたのは漫画。安野氏は絵を描いた経験がほとんどなかったが全16ページの漫画を1週間ほどで完成させたという。

 漫画の制作工程であるネーム、キャラ作り、ペン入れ、仕上げの4つのステップのうち、手書きするのはネームだけで、あとは全て画像生成AIに任せられる。

 キャラ作りにおいては「女の子」「口を開けている」「ボブカット」など、テキストを入力すると条件を満たしたキャラクターが数パターン作成され、その中から自分のイメージに近いものを選んで補正する。

 その後も「部分的に修正する箇所を指示→AIで画像作成→その中から選択して微調整」を繰り返してペン入れが完了。そして仕上げ。すると手書きのネームからプロの漫画家にも引けを取らないクオリティの漫画が生まれる。 

 作業する上で難しいポイントはどこにあるのか。安野氏は「難しいのはAIにネームの意図を理解してもらえない時だ。例えば“顔に入れた十字線”を別のものとして解釈されたりする」と説明。

 今後については「いかに自分の意図をAIに伝えられるようになるか。ここが向上すると『もう1段階いいもの』ができ始めるだろう」と語った。

 AIによる漫画制作について、『ABEMAヒルズ』に出演したTHE GUILD代表でデザイナーの深津貴之氏は「次の5年で特殊なスキルを持っていない人でも、やれることがどんどん増えるはず。とはいえ、面白い物語が作れる、自分で絵が描ける人の方がAIの性能をフルに発揮できるだろう」と推測を語った。

 また、“売れっ子漫画家”によるAI活用については「例えば、『話を作ることは得意だが絵を描くのが面倒な漫画家』は数倍のスピードで何本もの連載を同時に持つことできるようになるはず」と変化を予想。

 一方、これまでの漫画の世界には細かい作業が多数あり、アシスタントの力を大いに借りる必要があった。彼ら彼女らの仕事はなくなってしまうのだろうか。深津氏は「これまであった修行・下積みは、おそらく自動化の影響で大部分がなくなるのでは。一方で、誰もが漫画を作れるようになると、漫画の需要が広くなるので、例えば広告のために漫画を作る、ドラマの台本やシナリオをいったん漫画で作るなど、市場が大きくなる。そのためアシスタントがいきなり実戦デビューできるチャンスも大きく広がる」と述べた。

 さらに深津氏は「例えば漫画であれば『綺麗な線をシュッと引くため』に何年もかかっていたがAI時代になると、その時間を面白い話作ることに使えるようになる。これからは、『絵は描けないが100作の名作漫画を作りました』という子どもも出てくるかもしれない」と語った。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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