「性的同意とは何なのか」。そんなデリケートな問題をエリート男子高校生と女子大生が議論し、大きな反響を呼んでいる。
神戸市の灘高等学校は進学校として名高く、2023年は86人が東京大学に合格した。そんな彼らが高3の公民の授業で生理について講義を受け、その後、近隣に位置する甲南女子の学生とともにディスカッションを行ったのだ。
女性の生理やデートDV、性的同意などについて赤裸々に悩みや考えを話し合い、その様子を取材した記事が配信されると、たちまちX(旧Twitter)で拡散され、
「灘の超エリート男子が甲南女子から教えてもらってるってだけで…」
「灘校生と合コンできて甲南女子大生はウキウキだろうな」
「灘高と甲南女子大の偏差値に差がありすぎて会話にならない」
など性教育を揶揄するコメントが相次いだ。一方で、
「真面目にやっていることを茶化すのは双方に失礼」
「若者たちが真面目に性について考えるのは素晴らしいことだよね」
といった揶揄する投稿を批判し、授業の意義を称賛するコメントも続々と上がっている。『ABEMAヒルズ』では、取材した教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏と慶応大学特任准教授などを兼務するプロデューサー・若新雄純氏と共に灘高の新しい取り組みについて考えた。
━━取材を通して、生徒たちはどんな様子だったか?
おおた氏:いたって真面目に「今日はこういうことを学ぶのね」と落ち着いていた。
━━年齢や所属が異なる男女が性教育でディスカッションを行う取り組みをどう捉えているか?
若新氏:「年齢と偏差値が違うから話が合わないんじゃないか」と批判している人もいるようだが、「話が合わないからこそ、ディスカッションをする」のだ。立場や世代、前提が違う人たちと話すと、僕らはそれだけでいろんなことを新しく知ることができる。また、先生から「教わる」のではなく、共にそういう環境を通して「学ぶ」。これが教育と学習の違いだ。
おおた氏:取材した際、驚いたのは女子大生による「学びがあった」というコメントだ。お互いが学べるいい空気になっていたということだ。
━━高3のこのタイミングにおける授業だった点についてはどう思うか?
おおた氏:灘みたいな進学校ほど受験、受験していない。大学生になる直前だからこそ、こういったことをしっかり学んでほしいという思いが先生にもあったのでは。男子校だからこそ性教育への実感値がどうしても弱いと思うが、そこを単に教科書的な知識で学ぶのではなく大学生に議論を打ち返す相手になってもらって実感を伴いながら自分の疑問を素直にぶつけられる有意義な授業だった。
━━ネットなどで揶揄されてることについてどう思うか?
おおた氏:逆接的に、こういう教育の必要性がさらに強調された気がする。
(『ABEMAヒルズ』より)
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