「私は産むのが得意で、稼ぐのが得意な人は経済的な支援。役割分担をするコミュニティだ」 4男5女の母親に聞く“地方の子育て” ライフステージに合わせて移動する選択肢も?
【映像】山口紫織さん(36)の9人の子どもたち
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 Z世代を対象にした調査で「将来子どもがほしくない」と答えたのは45.7%。「お金の問題」に加え、「育てる自信がない」「日本の将来に期待できない」などの理由があがっている(BIGLOBE 2月調査/18~25歳対象)。

【映像】山口紫織さん(36)の9人の子どもたち

 メディアやSNSでは、子どもを預ける施設が見つからないという保護者の話や、駅などでベビーカーが邪魔者扱いされたという嫌な経験談が多い。一方でこうした“子育てのしづらさ”は東京など都市部だけの現象だという指摘もある。Xでは「田舎だとベビーカー邪魔なんて言われない」「ご近所さんも協力的で助かる」「都会から離れればいいのでは?」という声も。『ABEMA Prime』では、地方で9人の子どもを育てるママをゲストに考えた。

■「SNSは子育てには追い風」

「私は産むのが得意で、稼ぐのが得意な人は経済的な支援。役割分担をするコミュニティだ」 4男5女の母親に聞く“地方の子育て” ライフステージに合わせて移動する選択肢も?
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 4年前に福岡市から飯塚市に移住した4男5女の母親・山口紫織さん(36)。「前は集合住宅に住んでいたのだが、どうしても『足音がうるさい』と苦情が来る。子どもたちに『静かにして』と、怒らなくていいところで、怒ってしまうのがストレスだった。引っ越したら自然が豊かで、騒音を気にする必要がなくなったのはよかった」と話す。

 引っ越しのきっかけはSNSだったという。「ある時に『一軒家が欲しい』と呟いたら、『うちの地域にめちゃくちゃ安く貸してくれる所があるから、引っ越してこない?』という声がかかった。SNSの時代は子育てにとっては追い風だと思う」。山口さん一家が暮らす一軒家の費用は、固定資産税分の年3万5000円だけだという。

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 また、メリットは食費面でも。「農家さんや畑をやっている方が多いから、『自分の家では食べきれない』ということで、きゅうりを30本もくれたり、白菜を持ってきてくれたり。食費はそこまでかかっていない」と明かした。

■「私は“産むのが得意”。役割分担をするコミュニティ」

 ネット上には「山口家を応援する会」なるものがあるという。「『お米がなくなった』と発信すると、みなさんが送ってきてくれたり、外から戻ってくると冷蔵庫に野菜やお肉が入っていて『入れといたよ』と。“みんなで子育てしよう”というのは政治の世界でも地域でも聞く言葉だが、本当にやっている人たちは少ない。それを本気でやる会を、シングルマザーの友達が立ち上げてくれた。私たちは大家族だけど、行政から支援は特にない。友達が『シングルマザーよりきつい生活をしている』『山口家はこんなに産んでいるのに国から何もしてもらえない。じゃあ私がやる』と。そこから企業の社長さんなども加わっていった」と説明する。

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 このコミュニティがあることで、「子育てをするのにお金がかかると思っていない。ネットやニュースだけを見ると、“子育ては大変”とか“子どもはめちゃめちゃお金がかかる”という情報に振り回されてしまう。私は“産むのが得意”で、得意なことをやっているだけ。農業が得意な人は野菜を作ってあげて、稼ぐのが得意な人は山口家を支援してくれる。役割分担をしながら生きているコミュニティになっている」とした。

 一方で、「年配の方とのお付き合いや相互理解は、私も難しいなと感じている面もある。“SNSで生きている家族って何?”と思われている方もたくさんいらっしゃる。全員が全員受け入れているわけではない。ただ、それを差し引いても、地域の中高生・大学生がうちの子を遊びに連れて行ってくれて、“下の子を面倒見るのは当たり前なんですよ”とコミュニケーションをとってくれるのは、この地域ならではだと思う」とも述べた。

■「ライフステージに合わせて移動する選択肢も」

 東大大学院経済学研究科教授の山口慎太郎氏は「地方の良さが表れたエピソードだ。いろいろな自治体で、子育て支援政策ということで現物支給みたいなサポートは増えているが、やはりコミュニティに支えられているという実感が大事だと思う。紫織さんのケースを見ても、周りの人に応援されて、物質的にも精神的にもサポートされている。子育ても楽しいというのは伝わってくる」との見方を示す。

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 子どもを持つことのデメリットが報道されたり、コスパで語られることもある。「都会の状況もよくなってきている。10年前はベビーカーで電車に乗るのは大変で、今も文句を言う人はいるけれども、世の中の主流としては理解が広がってきた。子どもを育てると同時に自分の仕事のことも考えると、都市から動けない方も多い。子どもを持つ前は都市でしっかり働いて稼いで、子どもが生まれたら少し郊外に行って、大きくなったらまた都市に戻ってくるかもしれない。もし郊外・地方が気に入ったらそのまま残る。ライフステージに合わせたいろいろな選択肢があってよいと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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