■「この子たちがいなければ私の人生はなかった」

 3人の子どもについて、紺野さんはこう話す。

「長男はお腹の中では異常がなかった。順調に育って、生まれて初めて病気がわかった。私は看護師だが、その頃は小児や障害児とは無縁の世界にいて、なんの覚悟もないまま、真っ暗なトンネルの中に迷い込んだ感覚だった。2人目は、先天性の代謝異常症が遺伝するかはその時の医学ではわからず、“また同じ病気の子が生まれるかも”という思いはあったが、長男にきょうだいを作ってあげたかった。3人目を授かった時も“もしかしたら…”という不安が消えることはなかったが、宿った命をおろすことは全く考えられなかった。お腹の中で病気がわかったにしても産む選択肢をしていたと思う」

【写真・画像】心ない批判に葛藤「障害児は生まれてきてはいけないのか?」 3人とも先天性の代謝異常症・10代で死別…産み育てた母親に聞く 3枚目
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 順天堂大学大学院の村山圭教授によると、先天性の代謝異常症は、新陳代謝やエネルギー産生の代謝が機能しなくなる病態のこと。両親双方の「遺伝子異変」による可能性が高いとされ、妊娠中に調べることはできない。また異常がある子どもが生まれる確率は、4分の1で、これは何度出産しても変わらないという。疑いのある子どもが生まれた場合、現在は強く親の遺伝子検査を勧めるということだ。紺野さんの出産は2000年から2006年。村山教授は、一般論として「当時は分からないことも多く、検査はそこまで勧めていなかったのでは?」と推察する。

「この子たちがいなければ私の人生はなかった」
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