将棋の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が前人未踏の八冠制覇を達成したことを受け、日本将棋連盟の羽生善治会長(53)が10月20日、東京・将棋会館で記者会見に応じた。全冠制覇達成者は1996年に自身が達成した以来4人目の偉業。タイトルが8つに増えた中での藤井竜王・名人の快挙に「大きな偉業を打ち立てられたのは率直にすごいこと」と賛辞を送った。さらに、27年前の羽生七冠と現在の藤井八冠が勝負した場合の勝負のゆくえを問われると「全然、全く敵わないです(笑)」と笑顔で答える場面もあった。
藤井竜王・名人は10月11日に行われた王座戦五番勝負第4局で永瀬拓矢前王座(31)に勝利し、史上初となる八冠制覇を達成した。偉業達成を受け、羽生会長は「日々研究や練習を重ねながら一局一局対局をしていますが、そういった中で大きな偉業を打ち立てられたのは率直にすごいなと感じています」と印象を語った。
羽生会長は、1996年2月に当時7つだった全タイトルを独占した。「タイトルの数が増えたところはありますが、30年近い歳月が流れて戦術も違いますし、競争も激化して勉強方法などの環境的なところも含めてずいぶん違うところがある」と27年前と比較。現在の藤井竜王・名人を「タイトル戦ではこれまで負けなし。安定感や地力の強さを感じる」と評した。さらに、(七冠)当時の羽生九段と現在“八冠王”となった藤井竜王・名人が勝負した場合、どちらが勝つかを問われると「全然、全く敵わないです(笑)」と語り、周囲を笑わせた。
また、藤井竜王・名人の指してきた将棋は自身を含めた多くの棋士に影響を与えていることに言及する場面も。「今回の王座戦は、内容では永瀬さんが五分以上の戦いを見せてくれた。(藤井竜王・名人からタイトルを奪うことに)全然希望がないわけではない。自分も含めて他の棋士たちが棋力を充実させて臨んでいくことが、何よりの戦いになるのではないかなと思う」と今後の展望を語った。
現在、藤井竜王・名人は防衛戦の竜王戦七番勝負に臨んでいることもあり直接祝福の言葉は伝えられていないと話したが、「これから先に将棋を始める人たちにとっての“ヒーロー”になることは間違いない。そういう存在としてずっと活躍してほしいなと思います」と期待を込めた。