現場の実状や課題を発信している「カイゴメディア」代表の向笠元氏は「業界に長くいるベテランからすると、ある意味当たり前。“それで解決するなら受け流せばいい”“場合によってはちょっとくらい触らせておいたらいい”と、スルースキルが身に付いてしまっている。一方で、新人にとってはそんな世界なのかというところで、なかなか長く続かない」と指摘。
古い考えだった当時に比べ、「今は随分変わっていると思う」と佐藤さんは話すが、依然難しい部分もあるという。
「管理者も“仕事を減らしたい”というのがすごくある。要するにケガを負わす・負わされた場合は事故扱いになるが、報告書がすごく面倒で、できれば書きたくない。残業になるので、どんどん後回しになっていく。しかし、対応を考えるためにはそれを積み重ねないといけないので、管理者から『報告書を書いて』という一言が出るか出ないかが非常に大きい」
向笠氏も「やはりお相手が認知症の高齢者なので、暴言や暴力が自然に出てきてしまう。それに対して、誰かしらが我慢をして対応しないと、世の中の介護は成り立たなくなる」と実情に触れた。
■「クリアできないゲームをひたすらやっている感覚」
