見せてやる、九州魂!深浦康市九段「熱い気持ちでやってくれると思う」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】地域対抗戦・8人の監督インタビュー

 九州男児の滾る思いを、この団体戦で思い切りぶつける。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、長崎県出身の深浦康市九段(51)が、「九州」チームの監督を務める。これから棋士たちがチームエントリーを始めるが「熱い気持ちでやってくれると思う」と、各チームへの対抗意識はまるで隠さない。

【映像】地域対抗戦・8人の監督インタビュー

 東京・大阪が中心と言えるような形で歴史を刻んできた将棋界。プロである「棋士」を目指すためには関東もしくは関西の奨励会に所属し、四段昇段を目指してリーグ戦を勝ち上がらなくてはいけない。九州に住む者とすれば、修行時代から東京や大阪に出向くという距離的なハンディキャップもあった。また奨励会員や棋士の絶対数が少ないことから、ともに腕を磨く者が身近にいないという不利もあった。「九州の棋士は少年時代に、少しハンデ感を覚えたこともあると思います。そういったものを乗り越えて棋士になっている面々ですので、いろいろな地域の方々と対局できる機会を得て、また地元の方々と喜びを分かち合える機会が楽しみです」と、胸が踊る。

 常日頃、対局が行われる東京・大阪と異なり、九州はタイトル戦やイベントによって棋士と触れ合い、盛り上がる貴重な機会だった。少年時代に目にしたトップ棋士に憧れて、将棋の道に進もうと思った者も多いだろう。そんな機会が、この大会をきっかけに増えればうれしいと深浦九段も考える。一方で、九州にいながら棋士になろうとした者も苦労もわかる。「奨励会の修行で、負けたくないという少年時代を過ごしてきたと思います。自分の弟子もそうですが、長い時間かけて会館まで行って、その日のうちに帰る。負けた時であれば列車の中で悔しい思いをした経験もあるでしょう。一つ一つの勝負が重いんでしょう」。遠路はるばる将棋のために向かい、負けて帰る道は実に暗く長いだろう。そんな悔しさを乗り越えた者だけが棋士になっている。

 他の地域に比べれば、九州出身の棋士は数が少ない。少数精鋭という戦いが強いられることになるが、タイトル経験者もいるだけに結束すれば十分に戦える。「全地域の中で、棋士の数は一番少ないですが、それだけよく顔を合わせる機会も多い。チームワークのよさで乗り越えていきたいです。自分が小さいころ、地域の方々にかなりお世話になりました。そういった方と盛り上がっていく機会は初めてのことなので、いい勝負をしてみなさんと喜びを分かち合いたいです」と、恩返しの思いも強めた。東海地域は藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)の登場により、もともと将棋の熱い地域がさらに熱くなった。今度は九州を将棋で盛り上げる。そんな意欲が深浦監督からほとばしっていた。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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