自民党の最大派閥・安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題でキックバックを受けた国会議員が数十人に上るとみられることがわかった。
自民党・安倍派の政治団体「清和政策研究会」では、所属議員に課されたパーティー券の販売ノルマを超えた分が議員側にキックバックされていた。総額は去年までの5年間で1億円以上になり、収支報告書に記載されていない疑いがある。
この問題について、ダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏は「キックバック自体は違法ではないが、お金の流れを政治資金収支報告書にきちんと記載していなければ、政治資金規制法違反の疑いがある。政治資金規正法では、不記載・虚偽記載には5年以下の禁固か100万円以下の罰金が科されるが、国会議員が戦々恐々としているのは選挙に出られなくなることだ。有罪が確定すると『公民権停止』となり、一定期間選挙に立候補できなくなる。これは政治家にとって死刑宣告に等しく、東京地検の捜査のメスがどこまで入るか注目している」と指摘する。
「政治とカネの問題」は尽きないが解消は不可能なのか? 神庭氏は3つのポイントを挙げた。
「まず、キックバックで得た裏金の使途を徹底的に調べる必要がある。長年にわたって組織的に裏金づくりが行われてきた疑いがある中で、『議員秘書や小物の議員だけ立件しました』というようなトカゲの尻尾切りでは、国民は納得しないだろう。誰が公民権停止になるのか、ならないのか、しっかり捜査してほしい」
「もう一つは、抜け穴だらけで“ザル”な政治資金規正法の強化だ。現状、20万円以下のパーティー券収入については記載の義務がなく、法律をかい潜るために複数回に分割して支払うようなケースもあると聞く。抜け穴をふさぐため、1万円から記載を義務付けるなど、法律を改正する必要がある」
「最後に、政党交付金の扱いの再考だ。政党交付金の原資は我々の血税で、今年は9つの政党に対して315億円超が支払われ、自民党にも159億円ほど交付されている。そもそも政党交付金は、1990年代に政治とカネを巡る問題や汚職事件が続出したことを受け、『企業献金を厳しく制限する代わりに、税金から政党にお金を出しましょう』という建前で導入されたはず。にもかかわらず、いまだにダーティーなお金の流れが消えず、税金と企業からお金を二重取りしているのはおかしい。せめて、問題を起こした政党からは政党交付金を没収するなど、強いペナルティーを科せないか」
最大勢力である安倍派の政治資金の問題で、自民党内の勢力図に影響はあるのだろうか?
神庭氏は「最大派閥の安倍派がつまずいたことで、党内のパワーバランスが変化していく可能性もある。一方で安倍派以外にもこの問題が広がれば、自民党全体への大きなダメージとなるだろう」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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