18日、総務省は手紙やはがきの料金を値上げする案を発表した。来年の秋から63円のハガキを85円、84円の封書を110円にするもので、消費税の増税による値上げを除くと封書の値上げは30年ぶりとなる。
郵便物の引受数は2001年度の262億通をピークに年々減少。去年度は144億通と20年でほぼ半減している。
これについて東京都立大学 准教授 で政治学者の佐藤信氏は「海外と比べて、日本の郵便は便利で価格も非常に安い。郵便物が減ってる中、値上げはやむを得ないだろう」と指摘した。
それでも年賀状という多くの郵便物が行き交う正月は目前。佐藤氏は「私は、数は随分減ってしまったが年賀状は書く方で、木版を彫ってデザインしていた。去年は時間が無くてプリントにしてしまったが…」と意外なこだわりを明かした。
株式会社ライボの調査機関Job総研が社会人900人に「今年度年賀状送るか」を聞いた結果、「送らない」または「たぶん送らない」と答えた人が51.5パーセントと過半数に。特に20代では61.8パーセントが送らない派となった。
授業で大学生と接している佐藤氏は「20代については、むしろ“送る派”が4割弱いることに驚いた」と所感を述べた。
「年賀状が不要だと思う理由」についてのアンケートでは
・他の手段で代用できるから(例:SNSなど)49.4%
・準備が面倒だから 44.9%
・作る時間がないから 37.1%
・お金がかかるから 34.8%
・資源の削減になるから 19.3%
・受け取り側の負担もあるから 18.4%
・古いイメージがあるから 12.3%
・出す相手がいない/わからないから 7.4%
・送ったことがないから 3.9%
(複数回答可)
という結果に(ライボJob総研調べ「2023年年賀状と歳暮の意識調査」)。
そんな中でも、年賀状をやり取りしている人たちにとっては、「お年玉付き年賀はがき」の抽選を楽しみにしている人も多いのではないだろうか。初めて発売されたのは終戦から4年後の1949年12月。
日本郵政によると戦後、「年賀状が復活すれば互いの消息がわかる」ということや、「お年玉をつけて寄付金を加えれば夢もあり、社会福祉につながる」というアイデアから始まったという。
賞品は、最近は現金や電子マネー、ふるさと小包に切手シートなどとなっているが、最初の「お年玉くじ」の賞品は、特等が高級ミシン 8本、1等が純毛洋服生地 360本、2等が学童用本革グローブ 1440本、3等が学童用洋傘 3600本など当時のあこがれの品がどんなものだったかがうかがえる(日本郵政博物館)。
佐藤氏は「戦後すぐで、欧米化が進んで洋服がどんどん出てくるという時代を感じさせる。洋傘など今では当たり前になっている物も当時はそうではなかっただろう」と話した。
年賀状の意義について佐藤氏は「年賀状のみのやり取りで、毎年“今年は会おう”と互いに書き続けていた友人と“今年こそは”となって10数年ぶりに会った。考えてみるとメールなどはアドレスが変わったりすることで連絡が取れなくなることもあるが、互いに住所に送り合っていたから関係がつながっていたのかなと思った。コミュニケーションはSNSなどで代替できるが、様々な手段で人と繋がっていることも大事なのではないか」と、自身の経験を振り返って年賀状の意義を語った。
(『ABEMAヒルズ』より)
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