<大相撲一月場所>◇九日目◇22日◇東京・両国国技館
手に汗握る攻防の決着は、発生確率の割合が0.01%という珍手の大技。その瞬間、悲鳴と歓声、さらにどよめきが入り混じって館内が一時騒然となった。
幕下十七枚目・宮城(二所ノ関)と幕下十四枚目・琴挙龍(佐渡ヶ嶽)の一番は、土俵際の投げの打ち合いから予想だにしない“珍&大”技決着で宮城が3勝目を挙げ、琴挙龍が3敗目を喫した。
立ち合い、頭から低く、鋭く当たった宮城は素早く左に回り込むと、琴挙龍が諸手突きでついてくる展開。そこで宮城が引いて対応すると、琴挙龍が左の張り手で応戦。まわしを取らせまいとする宮城に対して琴挙龍は宮城の左腕を抱えて動きを封じる。
その後、土俵中央で宮城が右のまわし、琴挙龍が左上手を取ったところで、琴挙龍が土俵際で左からの投げを打つ。そのまま勝負ありかと思われたが、宮城がこれに抜群の反応を見せ、自らの体をくるっとひっくり返すと、そのまま背中を琴挙龍に浴びせて土俵に倒れ込んだ。
劇的な決着を迎えたことを受け館内騒然となったが、しばらくの間、決まり手は公表されず。その間も館内がざわつき「決まらない決まり手」「たすき反り?」なかには「決まり手審議中」「イリュージョン」などファンの間でも決まり手に関する様々な憶測や冗談が飛び交った。その後、一つ後ろの取組である幕下六枚目・矢後と幕下二十五枚目・上戸の取組後に館内に向け「伝え反り」と決まり手が正式にアナウンスされると、館内が沸いた。
伝え反り…日本相撲協会の公式HPによると、決まり手八十二手ランキングで六十五位、発生割合にして0.01%の珍手で「相手の脇の下をくぐり抜けながら自分の体を後ろに反らせて、相手を倒して勝ちます」との説明。
日体大相撲部出身で、全日本個人体重別選手権大会シニア男子85キロ未満級で優勝の実力者である宮城の相撲センスが可能にした取組にABEMAファンからは「凄い相撲」「決まり手は何?」「これこそ大相撲」「大技!」など興奮の声が相次いで寄せられた。なおこの伝え反り、2022年九月場所に業師・宇良が当時として幕内では20年ぶりに決めて宝富士を下している。(ABEMA/大相撲チャンネル)