【WRC】第1戦 ラリー・モンテカルロ(1月25〜28日)
ラリーの世界最高峰、世界ラリー選手権(WRC)が開幕。超一流ドライバーの豪快なテクニックが光った。
舞台は4日間で最長の距離を走るデイ3の、朝から数えて3番目のステージSS(スペシャル・ステージ)11。山道を下った先で家々の間を走り抜け、最終的にまた山道を上っていくツイスティなコースとなっている。このうち、山中のタイトなヘアピンカーブをドリフトで駆け抜けていく5台のマシンの走りを連続で見ることができた。
まずはトヨタ(トヨタ・ガズー・レーシング WRT)のエース、エルフィン・エバンス。前日まで総合首位につけていたものの、この日はマシントラブルに見舞われ、ひとつ前のSS10では8番手タイムと不調気味。しかし、このヘアピンカーブでは、ややスムースさに欠けるように見えるが迫力あるドリフトを披露した。
次は、ヒョンデ(ヒョンデ・シェル・モービス WRT)のティエリー・ヌービル選手。この日は朝から絶好調で、SS9ではステージウィンを果たした。最後までスキのないドリフトで、立ち上がりの加速まで一連の動きに無駄がない。この後、デイ3を終えて、総合首位に躍り出た。
ベテランらしく無駄に車体を滑らせず、あくまでも省エネのムーヴでヘアピンカーブを切り抜けたのが、トヨタのセバスチャン・オジェである。この日は、意地を見せてSS10でトップタイムを記録。一時は総合首位を奪取する気迫の走りでデイ3を乗り切った。
フォード(Mスポーツ・フォードWRT)のアドリアン・フルモーは、豪快を絵に描いたようなドリフト。トヨタとヒョンデに比べると総合力で劣るフォードだが、フルモー選手は4日間を通して終始パワフルなテクニックをギャラリーに見せつけた。
最後はトヨタの勝田貴元。WRC唯一の日本人選手で、今季は念願のフル参戦を果たした。この日の勝田は好調で、このヘアピンでも車体のケツを激しく振りながら、立ち上がりでは雄々しく加速していく。最終的にこの日は、前日までの総合12番手から総合7番手まで順位を上げた。
ひとつのコーナーに注目しても、ドライバーやWRカーによって異なる走り方が楽しめる。また、その時のマシンのコンディションも読み取れるなど、非常に興味深い。観戦の視点を変えてみるだけで、WRCはさらに面白くなる。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)