【写真・画像】育児と介護“ダブルケア”の苦悩 「子どもが泣いているのに祖母の世話をしなくてはならない」当事者語る実態と必要な支援は 1枚目
【映像】永田さん「ダブルケア」の経緯(年表)
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 先週、ソニー生命が発表した調査結果によると、子育て世代で“ダブルケア”という言葉を聞いたことがあると答えたのは約20%という実態が明らかになった。

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 介護と子育てが同時進行している状態の“ダブルケア”は2025年以降、人口が多い団塊世代が後期高齢者となり、増加する見込み。調査でも男性は約21%、女性は24%が数年先に直面する見込みだと回答し、過去の内閣府による調査では約25万人いると推計された。

 先月23日、対策を問われた武見厚生労働大臣は「まず市町村が設置する地域包括支援センターにおいて家族介護者に対する総合支援相談を行っている。ダブルケアラーについても、そこでまず対応できれば」と述べた。

 Xでは「介護と育児、同時進行となると仕事どころではなくなる」「いよいよ結婚と子育ての意欲がなくなる」「早く国が対策を。個人や家庭単位で解決できる問題じゃない」などの声があがっているが、実態や必要な対策とは? 『ABEMA Prime』ではダブルケアを経験した元当事者と、問題に取り組む専門家と共に考えた。

当事者が語る“ダブルケア”の経緯と実態

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 ダブルケアの経験を持つ永田めぐみ氏(当事者の悩みを相談するサークル「coconi」代表)は、結婚を機に夫の祖父母と同居。直後に祖母の認知症が発覚し、その後、祖父も肺がんを患った。そうしたなか2015年には長男を出産。以降ダブルケア状態になった。

 当時を振り返り「子育ては初めてで自分の子どもにもっと時間をかけてあげたかった。どちらも大切なのに介護と両立できない。子どもが泣いているのに祖母の世話をしなくてはならず、もどかしく、しんどい気持ちだった。ただ、ダブルケアラーが100人いたら100通りのケア方法があり、思いも違う。誰の思いも尊重されるような社会になってほしい」と語る。

 永田氏の場合、「家にいる間は夫が介護を優先し、その間子育てに注力できるなど、家庭内ではうまくいっていた」と、夫の理解もあったが、実際の物理的な支援は、介護=介護サービス、子育て=保育園といった具合で、役所に行っても窓口が別々になっていることも両立を難しくした。

 こうした現状を踏まえ、「できれば一カ所で話したことが全部伝わってほしい。全国的に見れば少しずつそうした動きもあるので、ダブルケアが認知されることで動いていくはず」と述べた。

ダブルケアラーは増加見込み 仕事との両立は?

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 2016年に内閣府がまとめた調査報告書を見てもダブルケアラーは8年前時点で約25.3万人いると推計されている。さらに晩婚・晩産の進行と団塊の世代約800万人が後期高齢者に入る“2025年問題”が迫り、介護を必要とする人は増加する見込みだ。

 一方、冒頭の調査結果が示すように認知は進んでいない。

 テレビ朝日平石直之アナウンサーは、「会社に勤めていても“親の介護”を理由に辞めていく人が6.5%いる。リモートワークが普及しても東京の会社に勤めていたら、辞めて地元で職を見つけるしかない場合もある。調査では28.5%がダブルケアで仕事を辞めたと回答している。また、ある日突然、家族の介護が必要となり得るなかで“備えをしていなかった”と回答した人に31%に達している」と説明。

 調査では、備えておけばよかったことの例として、“親族と負担・分担を話し合う”(31.6%)“親が元気なうちに話し合う”(31.6%)“地域の支援制度を調べる”(24.9%)“経済的な準備(貯蓄・保険など)”(22.2%)などがあげられた。

専門家が指摘 必要な支援・制度は?

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 永田氏の話を受けて、お笑い芸人のパックンは「実家に戻れない方、同居できない方、仕事を辞められない方など、それぞれの家庭で事情が違う。実際どうすれば良いのか。育児や教育にお金をかけてほしいのに、経済的な余裕がない人ほど離職せざるを得ない。これでは国としても損をする」と問題を提起。

 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏も「ある程度お金があれば介護施設に入る手段もある。問題は経済的な余裕がない人をどうするか。そのボーダーラインはどこに引くのかも難しい」と指摘した。

 これに社会福祉士の小藪基司氏(横浜市すすき野地域ケアプラザ所長)は「ダブルケアは昔からあったが、介護一色になる生活でいいのか今、問われている」との見方を示し、具体的な制度として令和3年から制度化された重層的支援体制整備事業に言及。縦割りの制度に横串を刺すことを想定し、市町村が手あげ方式でやっていいという枠組みだ。

 だが、小藪氏は「一部の市町村から徐々に始まっているが、全国的に広がっていく感じではない。従前制度の縦割りがいまだメインになっている。私も地域包括支援センターで介護者の相談を受けているが、介護保険法に基づく制度の枠内で動き、ケアラーさんの役に立つ方向に持っていくのが基本。ただ、ケアラー向けのヘルパーといったサービスはないのが現状だ。よりフォーマルな形での制度やサービスが求められる」と述べた。

「誰を優先したい?」難しい課題に当事者は

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 そして、議論を踏まえ「ケアラー自身が意見を述べられる環境が大事だ。それによってゴールも見え、負担感は大きく異なる」との見方を示した。

 永田氏は「祖母が認知症で在宅介護をしていた時に、祖父が肺がんとわかった。余命がわかっていたので祖父の希望通り自宅で最期まで看取るけれど、“自分はそこで力尽きると思うから、そうなったら祖母は施設に”という意向を夫と相談して決めていた。実際、祖父を看取った後に祖母を施設に預けた経緯がある。本当にすごく複雑だが終わりが見えていたから頑張れた」と語った。

(『ABEMA Prime』より)

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