将棋の藤井聡太王将(竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、棋聖、21)が2月7・8の両日に行われた「囲碁将棋チャンネル 第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局で、挑戦者の菅井竜也八段(31)に勝利し防衛3連覇を達成した。シリーズ成績は4勝0敗。この防衛により、大山康晴十五世名人を超すタイトル戦20連勝の新記録を樹立。藤井王将は2020年のタイトル戦初登場以来、一度も敗退することなく大記録を更新することとなった。
2023年10月の史上初・八冠制覇からわずか4カ月。藤井王将がまたもや金字塔を打ち立てた。本シリーズの防衛により、藤井王将は故・大山康晴十五世名人が1963年の第22期名人戦から66年の第25期名人戦までに樹立したタイトル戦19連勝の記録を58年ぶりに更新し歴代単独1位の20連勝を達成。藤井王将は初めてのタイトル戦登場となった2020年第91期ヒューリック杯棋聖戦の戴冠以来、防衛・挑戦で一度も敗退することなく大偉業を達成してみせた。
終局後、藤井王将は「そのことは意識はしていなかったですし、棋王戦も開幕しているので、そういったこと(記録など)は意識せず引き続き前を向いてやっていきたい」とコメントした。
決着局となった本局は、後手の菅井八段が「三間飛車」を志向。力将棋となった一局で藤井王将が序盤から圧巻の構想力を披露した。広い視野と柔軟な発想でペースを握ると、立体的ながら無理のない自然な手を重ねてリードを拡大。中盤で突き放すと菅井八段の力を封じるように制圧、勝ちへとつなげた。対抗形シリーズとして注目を集めた今期の七番勝負は、藤井王将がはじめて王将位を獲得した東京・立川市でV3を達成。八冠達成後タイトル戦無敗記録を継続し、無傷の4連勝を飾ってシリーズを閉幕させた。
藤井王将は現在、同学年の伊藤匠七段(21)を挑戦者に迎えた棋王戦コナミグループ杯五番勝負にも臨んでいる。第1局は持将棋となったため、2月24日に石川県金沢市で予定されている第2局でシリーズ先勝を飾るのはどちらか、大きな注目を集めることになる。さらに、今週末の10日には連覇と通算5度目の優勝を目指す朝日杯将棋オープン戦の準決勝・決勝も控えている。息つく間もなく次なる戦いの舞台へ。藤井王将の躍進はどこまでも止まらない。
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王3期、名人1期、王位4期、叡王3期、王座1期、棋王1期、王将3期、棋聖4期の通算20期。棋戦優勝は10回。2023年度は第81期名人位の獲得により、20歳10カ月で最年少名人と史上2人目の七冠獲得を同時達成。さらに初挑戦した第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
(写真提供:日本将棋連盟)