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【映像】アカハラの相談が12〜2月に多い理由とは?
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 教育機関などで立場を利用し、部下や学生に研究の妨害や嫌がらせをする「アカハラ」。自身も過去にアカハラ被害を受けた経験を持つNPO法人の代表理事が「手遅れになる前に相談してほしい」と訴えた。

【映像】アカハラの相談が12〜2月に多い理由とは?

 「アカハラとは過度の叱責や人格否定、研究の妨害などパワハラと同じようなものだ」

 そう話すのはNPO法人「アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク」、通称NAAH(ナア)の代表理事を務める御輿久美子氏だ。

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 NAAHでは個々の相談を受け、一般化できる問題については大学に対して解決策を提案する啓発活動を行っている。相談は主に12月から2月、卒業や単位取得に関わる内容が多く、例えば医療・看護系など実習の単位がなければ国家試験を受けられないケースにおいて学生が辛い思いをすることが多いという。

 NAAHでは個々の相談を受ける他、啓発用のDVDの作成や、啓発講演、コミュニケーションアップのための研修など、様々な取り組みを行っている。

 その結果、多くの大学に相談窓口が設置されるなどの成果があり、10日には顕著な人権擁護の取り組みを評され、大阪弁護士会が表彰する「人権賞」を受賞した。

 御輿氏がNAAHを立ち上げたきっかけは、自身が助手として医科大学の研究中に受けたアカハラだった。

 「教授が変わるとそれまで研究室にいた教室員は全員変わるという慣例のようなものがあった。だから教授が変わっても、研究を続けるために残った私は邪魔だったのだろう。他の大学に出張してるうちに私物を片づけられたり、研究室で学会の発表準備をしていたら邪魔をされたりした」

大学を相手に裁判を起こし、アカハラがあったと認められた御輿氏。アカハラをなくそうと、ホームページ上に相談窓口を立ち上げたところ、同じような被害を受けた人の声が多く集まったという。

今も年間300件を超える相談を受け、被害者の中には目指す道をあきらめる人や、自ら命を絶ってしまう人もいるという。

 御輿氏は「我慢しないで、初期のうちに相談してほしい。始めのうちであれば、担当の教員を変えたり、逃げることもできる。苦しい中で生き抜くことが絶対に必要だと思わずに、そういう苦しさから逃げる、『こういう嫌なことは嫌なんだ』と相談して欲しい」と訴えた。

 御輿氏によるとアカハラ対策として「現在ではほぼ全ての大学においてガイドライン・相談窓口が設置されている。卒業研究をさせない、指導を行わない、過度の叱責、能力否定などをアカデミック・ハラスメントとして認識し、ガイドラインに明記している大学が多い」という。 

 一方で、「専門学校ではあまり整っていないところもあり、働きかけても責任をもって対応する部署がない場合もある」という。さらに、「相談すると相手に知られてよりひどい目に合うのでは」と心配する声もあるという。

 これに対し御輿氏は「過去にそういう例はあったかもしれないが、今は相談内容を漏らしたりはしないようにしている。こちらもきちっとサポートするので、大学に言ってそこで解決しなければいけない。まず大学に相談に行き、申し立ててほしい。信用できなかったら(我々が)サポートする」と話す。

 アカハラについて東京工業大学の西田亮介准教授は「学生の権利保障の制度化と取り組み強化に加えて、我々大学教員に対しても研修などを取り入れて意識を向上させるといった取り組みがこの5年間ほどで急速に進んでいる」と説明。一方でアカハラ対策の課題について「教員向けの研修については毎年受けなければいけない大学もあれば、任意参加である大学もあり、多様だ。また、残りのキャリアが長い教員については時代の変化について行く意識が高い傾向にある一方で時代の変化を好ましくないと思っている教員や関心を持たない教員もいるだけに、さらなる改善と学生の権利保障の仕組み化が必要だろう」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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