アニメ「薬屋のひとりごと」蘇りの薬とは？翠苓が宮廷から出たからくりを解説

　アニメ「薬屋のひとりごと（くすりやのひとりごと）」は、華やかな宮廷を舞台に、花街出身の薬屋の少女が、次々と事件を解決していく謎解きエンタテインメントです。アニメは2023年10月から、連続2クールで全国放送されています。

▶翠苓は死んだ？謎を猫猫が解説 20話
▶「蘇りの薬」を植えると言った翠苓 18話

　原作は、日向夏氏により小説投稿サイト「小説家になろう」へ掲載されている作品に、自ら加筆・修正を加えて出版されたライトノベル。小学館とスクウェア・エニックスの2社からそれぞれコミカライズもされていて、2024年3月時点でシリーズ累計発行部数3300万部を突破。厚生労働省ともコラボするほどの人気を誇っています。

　この記事では、アニメ「薬屋のひとりごと」の物語において、重要な役目をはたす「蘇りの薬（よみがえりのくすり）」について解説。使った人物やその効果、使用された目的や方法などを説明していきます。

アニメ「薬屋のひとりごと」とは

　物語は花街で薬師をしていた少女・猫猫（まおまお）が人さらいにあい、後宮の下女となったところから始まります。帝の妃や侍女といった女たちの陰謀が渦巻く後宮にありながら、毒と薬にしか興味がない猫猫は、できるだけ目立たないようにして、年季明けを待つ日々を過ごしていました。

　ある日、猫猫は帝の御子たちが次々と病気になることを知ります。そして、その原因を匿名で知らせたことがきっかけで、後宮を束ねる美形の宦官・壬氏（じんし）により、皇帝の寵姫の毒見係に抜擢されました。壬氏に気に入られた猫猫は、その後もさまざまな事件や面倒事を押し付けられることとなり、深い洞察力と薬師の知識を使って、次々にそれらを解決していくのでした。

「薬屋のひとりごと」で使われた蘇りの薬とは？

　「薬屋のひとりごと」における“蘇りの薬”とは、作中で女官の翠苓（すいれい）が使った薬です。死者が蘇るのではなく、一時的に仮死状態となり死を装うためのもので、翠苓が宮廷から脱出するために使われました。

　猫猫は薬草畑で翠苓と会ったときに、その薬の存在を匂わされていました。そのとき猫猫は「蘇りの薬」という言葉に激しく食いつきますが、冗談だとかわされています。後に、翠苓が実際に薬を使ったことを知り、猫猫は蘇りの薬にも翠苓にも、大きな興味を持つことになりました。

蘇りの薬を使った翠苓はどんな人物？

　翠苓は、軍部に務める20歳前後の官女です。背が高く、端正な顔立ちをしていますが無愛想で、きりっとした形の眉を描いた化粧が特徴的です。翠苓の初登場は、アニメ第13話。猫猫が外廷勤務になり、壬氏の直属の侍女という立場を妬んで文句を言いに来た女官の一団の1人として姿を見せました。

　アニメ第18話では、猫猫が壬氏の侍女である水蓮（すいれん）に言われて軍部近くの医局へ出向き、翠苓にばったり出会います。翠苓は、医局にいた医官から好意を持たれている様子でした。

　その後、猫猫が薬草畑を見つけたところにも、翠苓が現れました。翠苓は、ここに「蘇りの薬」を植えていると言い、猫猫が興味を持って詰め寄ると冗談だと返します。さらに「あなた薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしら？」と挑発したうえで、薬草畑に朝顔を植えることを伝えました。猫猫は翠苓から漂う薬の匂いと、薬草畑で的確に雑草だけを抜いていたことから、興味を持ちます。

翠苓が宮廷で起こした事件とは？壬氏の暗殺未遂!?

　翠苓が宮廷で起こした事件は、壬氏の暗殺未遂です。壬氏の命を直接、狙うのではなく、壬氏が執り行っていた祭祀において、偶然が重なったと見せかけて事故を起こそうとしました。そして、猫猫が外廷勤務になってから起こったいくつかの事件は、一見すると関連がないようでありながら、祭祀での事故を誘発する要素として仕組まれたものだったのです。

　アニメ第9話で、酒に溶け込んだ塩が原因で死亡した浩然（こうねん）は、祭具の管理を長年行っていた高官でした。また、第14話で李白（りはく）が調べていた倉庫の小火（ぼや）の裏では、祭具が盗み出される事件が起こっていました。それと同時期の第15話では、祭具の管理をしていた役人が、膾（なます）による食中毒で倒れています。さらに、盗まれた祭具の代わりとなったのは、第16話に登場した息子たちへ謎を残して亡くなった職人が作った低い温度で溶ける金属を使ったものでした。

　そのすべてに翠苓が関わったかはわかりませんが、現場に残された煙管から、猫猫は「少なくとも倉庫の小火を引き起こしたのは翠苓である」ことに気がつきます。

　祭祀を行う会場では、壬氏の真上に吊り下げられた柱を支える金具が熱で溶けやすくなっていて、その柱の落下で壬氏が命を落とすように仕組まれていました。しかし、一連の事件が祭具を狙ったものだと気づいた猫猫が祭祀に駆けつけたことで、壬氏の暗殺は未遂に終わります。

▶突然死した祭具の管理者だった高官 9話
▶祭具が盗まれていたぼや騒ぎと見つかった煙管 14話
▶祭具の前管理者が食中毒でこん睡状態に 15話
▶ある一定の熱で溶ける金属の謎 16話

蘇りの薬をどう使った？翠苓が宮廷から抜け出した方法

　小火を起こした倉庫で見つかった煙管から、翠苓の関与に気づいた猫猫は、それを李白に伝えていました。そのため、事件のあとすぐに翠苓のもとへ刑吏が駆けつけますが、翠苓は結果的に宮廷を抜け出すことに成功しています。猫猫は翠苓が蘇りの薬を使ったと見抜き、生きて逃走したことは明らかになりましたが、その行方はわかっていません。翠苓は蘇りの薬を、どのように使って宮廷を抜け出したのでしょうか。

1．薬を飲んで死んだと見せかける

　李白たちが踏み込んだとき、翠苓は毒をあおって寝台の上に倒れていて、医官の検死でも死亡が確認されました。しかし、翠苓が飲んだのは蘇りの薬で、一時的に体を仮死状態にするものでした。検死のときに解剖されたら本当に死んでしまう危険もありますが、医官は自分に気があるため、翠苓は解剖まではしないと予想していました。こうして翠苓は、毒を飲んで死んだと見せかけたのです。

2．本物の死体と入れ替わる

　死んでいると認められた翠苓は、一昼夜の後に火葬されることになります。翠苓が入った棺は、火葬の直前まで死亡した罪人を安置する場所に置かれました。助けにきた協力者が棺を開ける頃に翠苓は息を吹き返し、協力者が別の死体が入った棺を変わりに置きました。

3．宮廷から抜け出す

　棺を開けに来た協力者が持ち込んだ衣服に着替え、業者の格好に変装した翠苓は協力者の男性たちに混ざって宮廷から外に出ます。背の高い翠苓は、男装をしても違和感がなさそうです。死体を運ぶ仕事をする者は、周りから忌むべき存在として目を背けられることが多く、そうした業者として入り込んだ協力者と一緒に行動することで、周りからの目をそらすことにも成功したようです。

▶翠苓が「蘇りの薬」を使った方法 20話

蘇りの薬はどうやって作られた？原料は曼荼羅華？

　翠苓が使った蘇りの薬の詳細はわからないままです。猫猫は以前、曼荼羅華（まんだらげ）と河豚毒などを混ぜることで、仮死状態を引き起こす薬が作れると聞いたことがありました。

　曼荼羅華は毒性が強い一方で、適量であれば麻酔薬にもなる植物です。また、曼荼羅華は白い朝顔の花に似ており、別名で朝鮮朝顔ともいい、翠苓が以前薬草畑で猫猫に「朝顔を植える」と言っていたことともつながります。そのことから、猫猫は翠苓が曼荼羅華で蘇りの薬を作ったと推測しました。

アニメ「薬屋のひとりごと」蘇りの薬のまとめ

　アニメ「薬屋のひとりごと」に登場する蘇りの薬は、壬氏暗殺を目論んだ女官の翠苓が、宮廷を脱出するときに使われました。その効果は死者が蘇るのではなく、人を仮死状態にするものです。猫猫はその薬に強い興味をもち、曼荼羅華を使っているのではと推測していますが、その成分はわからないままです。

　翠苓はどうなったのか、猫猫は蘇りの薬の詳細を知ることができるのかなど、今後の展開を期待しながら、放送を楽しみましょう。

（C）日向夏・イマジカインフォス／「薬屋のひとりごと」製作委員会

アニメ『薬屋のひとりごと』放送回一覧（動画リンクつき）

話数	サブタイトル（タップで動画へ）	見どころ
1	猫猫	猫猫の正義感が幼子を救う
2	無愛想な薬師	媚薬の出来はバッチリ!?
3	幽霊騒動	奇行の裏の真実に気づく猫猫
4	恫喝	ガチギレ猫猫のマジビンタ！
5	暗躍	そばかすを落とした猫猫の顔
6	園遊会	「これ、毒です」猫猫が本領発揮
7	里帰り	高順の前で素が出てしまう壬氏
8	麦稈	「一夜の対価」に壬氏、硬直
9	自殺か他殺か	猫猫の死生観、壬氏の懊悩
10	蜂蜜	変態に追い詰められる猫猫
11	二つを一つに	阿多妃の過去が明らかに
12	宦官と妓女	猫猫、指先だけならお触りOK
13	外廷勤務	官女とのドロドロバトル
14	新しい淑妃	「女の園の秘術」を教授
15	膾	曲者な軍師・羅漢が来た！
16	鉛	鍵の開かないタンスの謎
17	街歩き	妓女の価値を下げる方法
18	羅漢	猫猫と羅漢の関係が明らかに
19	偶然か必然か	命を守るため、猫猫が走る
20	曼荼羅華	壬氏が飲む薬の効果
21	身請け作戦	隙あらば嫉妬する壬氏
22	青い薔薇	羅漢の目に映る人々
23	鳳仙花と片喰	妓女・鳳仙と羅漢の悲恋
24	壬氏と猫猫	壬氏の頭突きを食らう猫猫

・無料でみられる「薬屋のひとりごと」エピソード・見逃し配信一覧

■『薬屋のひとりごと』まとめ・最新情報一覧

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