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【映像】歌舞伎町ホストクラブの現状
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 先日、売掛金を取り立てた歌舞伎町のホストが逮捕された。警視庁によると、去年12月、男は93万円の売掛金がある20代の客を呼び出し、無理やり消費者金融から金を借りさせようとした、いわゆるぼったくり防止条例違反の疑いがもたれている。売掛金の取り立てでは初となる警視庁の摘発となった。

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 この問題をめぐっては去年12月、新宿区とホストクラブ200店舗のオーナーが対策を協議。売掛を自主規制で段階的に減らし、4月から全廃を目指すことで合意に至った。しかし以降も、売掛被害の相談に乗る団体へは問いあわせが相次いでいるという。

 SNSではホスト排除論まで噴出しているが、現状はどうなっているのか。『ABEMA Prime』で話を聞くとともに今後を考えた。

■“自主規制”による歌舞伎町ホストクラブの現状「手口が悪質化している」

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 歌舞伎町の社会学を研究しているライターの佐々木チワワ氏は、「歌舞伎町では当たり前に行われていた違反行為が浮き彫りになり、今回初めて店舗も書類送検された。ホストという職業がアンダーグラウンドから表に出てきて、“じゃあ法律を順守しろ”と摘発されているのは良い流れだと思う」との考えを示す。

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 日本駆け込み寺理事・青少年を守る父母の連絡協議会代表の玄秀盛氏は「こうやって検挙されていけば実態が浮き彫りになってくる」と評価する一方で、「ホストクラブの手口が悪質化している」と指摘する。「初回入店を無料にして、最初からクレジットカードを切らせる。以前はじわじわやっていたが最初から高額なお金を取っている」。

 作家・社会学者の鈴木涼美氏は、「初回で入ってくる客数が店舗によっては8割減った。ホストクラブは永久指名制だから、新人ホストは新規が来ないと自分のお客さんにはできない。なので、すぐ辞めてしまったり、初回から高額を売り上げようとしたりする。それは規制が厳しくなった弊害とも言える」との見方を示した。

 4月から売掛が全廃になれば、潰れるホストクラブも出てくるのではないか。佐々木チワワ氏は「基本的には潰れず、大手のグループに買収されると思う。2021年くらいから50%がグループの店舗になっていて、知名度があったり、有名なホストがいる大手には初回が入る。そうではない個人店は為す術がなく、なりふり構わずマッチングアプリを使う可能性もある。売掛と借金をしないといけないような男女がいなくなって、楽しく遊べる環境が残るならいいのでは」と答えた。

■ホストクラブに搾取されているのは女性だけでなくホストも?

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 鈴木氏は「ここ10年で見せかけの売上がものすごく増えた」と指摘する。「昔みたいに路上でキャッチができないから、SNSや広告で3000万円売ったとか、年間1億円売ったと銘打っている。有名じゃないホストも増えたが、実際は収入もほとんどないような男の子たちだ。女の子たちは搾取の対象として救済されているけど、男の子たちもお店に踊らされている」。

 さらに「悪いホストクラブは、女の子ではなくホストをお客さんだと思っている。もちろん彼らが良いかたちで卒業したり、独立するように教育しているグループもある一方で、10年間働いたのに1円も残らないで去っていく人たちがいるのが、この10年の傾向だ」と続けた。

 これに佐々木チワワ氏は「ホストも若い男性で、売上がないと認められないという競争心を店側に煽られて売掛を作っている。お客さんが払わなかったら10代で借金を負ってしまうこともあるので、その制度は撤廃されてほしい」と述べる。

 また、ホストの労働が定義されていないことが問題だという。「店の外で会ったり、それこそセックスありきだったり、有名になるためのSNSの配信など、個人事業主として店にお金を持ってくる全ての行動がホストとしての仕事になっている。そこで何かにハマってしまう、お金を注ぎ込んでしまうという構造を理解した上で、労働内容を考えたほうが解決の糸口になると思う」と提案した。

■ホストクラブは排除すべきか

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 玄氏は自主規制では不十分、法律での規制が必要だと考えている。25歳未満の入店禁止、高額な売掛金禁止、ホストの社員雇用化、ワンストップ支援窓口の創設を盛り込んだ「ホスト新法」の立法化に向け、総理大臣あての署名活動中だという。

「コロナが明けて悪質ホストが急増し、“まず売掛金をやめよう”からうちはスタートした。ホスト産業と新宿区、警察、青母連で四者会議をしたが、2回目からうちは外されたのでやや強硬派になり、やっと自主規制の動きになった。私は今も歌舞伎町の現場にいるが、ホストがよく相談に来て、要するに“もう辞めたい”と。当然女の子もやめたいということで、同時並行だ。なくすべきは悪質ホスト。4月からの自主規制でどういう状態になるか、手ぐすねを引いて待っている」

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 一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は“ホスト悪”の風潮に疑問を呈し、「“女性はか弱い存在だから”と何でもかんでも守らなきゃいけない方向に議論が進んでしまうのもやりすぎだと思う。未成年の少女ならともかく、18歳過ぎれば大人なんだから、自分で愚かな行為する権利、“愚行権”があることをもうちょっと認めるべきだ。現代における普遍的な問題として、みんな自由に生きてくださいと言われている中で、生きる目的はあまりよくわからないし、ここにいれば安心という場所もない。そうなると、怪しい人たちに騙されてしまうという構造がある。そこを直さない限り、ホストクラブ1つ潰したとしても、同じような業態が別の名前で現れてくるだけ。そのぐらいの幅をもって議論しないとけないと思う」と述べる。

 佐々木チワワ氏は「グレーな状況をよしとしていたのがホストの職業。今後アングラ化していくのか、細っていくのか、ちゃんとエンターテインメントに変わっていくのかを見届けたい。ただ結局、ホストはプライドの生き物なので、売掛はダサいという風潮に男女ともなっていけばいいと思う」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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