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【映像】中国経済が苦しむ「4つのD」とは?
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 中国の国会にあたる全人代で、去年と同じ「5%前後」の高い経済成長率を目標とした中国政府。しかし若者の失業率増加、デフレの兆しなど失速する中国経済の厳しい実態は、かつて日本が経験した、バブル経済崩壊に重なる。

【映像】中国経済が苦しむ「4つのD」とは?

 中国で3月5日から7日間にわたって開催された、日本の国会にあたる「全人代」。国内のあらゆる分野について1年間の方針を決める最重要会議だ。

 注目された“経済政策”について李強首相は「今年の初期目標を達成するのは容易ではない。的確な政策を講じ各方面が心を一つに倍の努力をする必要がある」と強調した。

 目標に設定した経済成長率は去年と同じ「5%前後」。去年と違って“脱コロナ”への転換によるリバウンドのない今年、目標達成は簡単ではない。低迷する中国経済。中でもGDPの4分の1を占めるという不動産市場は出口の見えない不況に陥っている。

 主要都市の多くで、住宅価格の下落に歯止めがかからない状態となっていて、中国の不動産大手・恒大集団が香港の裁判所から会社を清算するよう命じられるなど、不動産分野での不振が続いている。

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 一方、不安定な経済状況が影響し若年層を中心に「就職難」が加速。去年6月には若者の失業率が21.3%と過去最悪を更新した。

 「都市部で1200万人の雇用を増やし、失業率を5.5%前後にする」という政府の思惑とは裏腹に、いま中国では「漂流族」と呼ばれる定職や家庭を持つことにこだわらず、漂流するように生きる若者が急増しているという。

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 長引く不動産不況、高い失業率。加えて懸念されているのが「デフレーション」だ。北京では、激安ファストフード店が連日にぎわいを見せている。

 ある店では朝食が3元。日本円に換算するとおよそ60円。揚げパン、卵、野菜にお椀。4品合わせても日本円で210円ほど。お椀はお代わり自由だ。

 このような激安メニューが「貧乏人セット」と呼ばれ人気となっていて、提供する店がここ1年で急増。低価格競争が激化するとデフレ傾向はさらに加速する。

 日本が長年苦しめられたデフレーション。そんな日本から学ぼうと、中国の書店にはバブル崩壊後の日本の経済に関する本が並ぶ。

 李強首相は「従来の消費形態を維持・拡大しつつ、買い替えを促して、新エネルギー車、電子製品など、大衆消費を後押しする」などと大規模な財政出動なども打ち出し、消費を刺激したい政府だが、国民の節約志向は高まっている。2月の消費者物価指数は6カ月ぶりのプラスに転じたもののデフレの影が迫る中国。先行きは厳しい道のりとなりそうだ。

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 現在の中国経済について、ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏は「中国経済は頻繁に崩壊説が唱えられ、そのたびに持ちこたえてきたが『今回はさすがに厳しい状況』と感じており、もし崩壊となれば世界に与える影響は計り知れない」と懸念を示す。

 「単純に言うと、『中国経済が日本化してる』と言っていい。今は『漂流族』という言葉が出てきたが数年前までは『寝そべり族』が流行していた。要するに将来に全く展望が持てないため、最低限の稼ぎだけを得て気ままに暮らす若者だ。若者が全く希望を持てない状況になっている」

 さらに、長岡市は中国経済の苦境を「4つの『D』」を用いて解説した。

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 1つ目は「Debt」=債務の膨張。

 「日本は債務が多い国であり、GDP比で約260%。中国は公式には約77%としているが、“地方政府の隠れ債務”があるといわれており、それを足すとおそらく数年後には150%と程度になる見込みだ。そんな表に出てきない債務が経済の足を引っ張っている状況にある」

 2つ目は「Demographics」=人口減少。

 「1970年代から30年以上続いた一人っ子政策の影響で子どもの数が非常に減っている。日本の特殊出生率は1.26だが中国は1.09。日本の10倍規模、しかも格差がまだ残ってる中国で人口減少が始まったらどれだけのインパクトがあるのかは読みきれない」

 3つ目は「Demand」=需要の停滞。

 「デフレ状況になって賃金も上がらず、国民の購買力が減っている。それが景気に悪循環をもたらしている」

 最後は「De-risking」=外資のリスク回避。

 「最初の3つは日本のデフレとも共通する部分だが、こちらは中国独自の現象であり、これがあるからこそ、より深刻だとも言える。中国は改革・解放以降、外資を使って合弁会社を作り、経済を盛り上げてきたという歴史があるが、今は海外の企業が“撤退”とは言わないまでも“様子を見る感じ”になっている。その理由の1つが、習近平政権の締めつけだ。去年、日本の大手製薬会社の社員が逮捕されたて衝撃を受けたが、外国人が安全安心にビジネスができない状況になっている」

■中国では日本のバブル崩壊を昔から研究?

 危機的状況にある中国だが、日本のバブル崩壊についてはこれまでにも研究を進めてきたようだ。長岡氏は「僕が中国に住んでいた頃、書店に行くと日本のバブル崩壊の本とソ連崩壊の方がよく並んでいた。民間の店にこれだけあるということは、おそらく中国の中枢ではさらに研究が進んでいるだろう。『他山の石』ではないが『日本とソ連の失敗に学ぼう』という気持ちは強く、上海の株暴落など直近20年間で何度か訪れた経済危機も持ちこたえられた一因には、日本の失敗から学び、経済をコントロールする術を学習したこともあるのでは」と分析した。

 習近平主席はこの経済の危機をどう乗り越えるのだろうか?

 長岡市は「習近平氏は社会主義的な価値観を非常に好んでいる。文化大革命の世代であり、『資本主義は汚れ、腐敗している。だから中国をクリーンな社会主義国家に戻すんだ』という考え方の持ち主。『格差を認めて、その格差を利用して経済をドライブするという作りになっている資本主義』と『全て均質でやろうとする社会主義』は相性が悪い。現状を打開するためには普通に考えると、かつての改革開放以来の資本主義的なシステム、政策に戻すことが合理的だが、それでは習近平氏の支配体制が揺らいでしまい、自らの存在意義を危うくしてしまう。どちらを選択するか、非常に難しい局面にいると思う」と見解を示した。

 中国のアメリカとの向き合い方については「アメリカ大統領選の結果次第で大きく変わる。とはいえ、米中2つの超大国の対立は国際情勢・地政学的に避けられず、急に仲良くなるとは考えにくい。だが対立の継続は中国にとってプレッシャーが強い。その中でどういう経済政策を選択していくのかは難しいところだ」と指摘した。

 中国経済に復活の兆しはないのだろうか?

 長岡氏は「テクノロジー分野の投資は割と進んでいてAI、EV、量子コンピュータなどの投資が先行して進んでおり、そこが突破口になるかもしれないが、『全体状況の中でそれが効いてくるのかどうか』という問題もあるため、引き続き注視していく必要がある」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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