<大相撲三月場所>◇千秋楽◇24日◇大阪・エディオンアリーナ
まさに記録づくめ、そして記憶にも残る歴史的快挙達成だ。新入幕の前頭十七枚目・尊富士(伊勢ヶ濱)が、前頭六枚目・豪ノ山(武隈)を下し、幕内初優勝を決めた。1914年(大正3年)5月場所の両国以来、110年ぶりとなる新入幕場所での優勝、さらには貴花田(貴乃花)と朝青龍の所要24場所を大きく更新する所要10場所という史上最速Vを達成し、館内は大歓声に包まれた。
【映像】尊富士、怪我を乗り越え110年ぶりの偉業を達成した取組
恐るべき、24歳の若武者が大相撲ファンに大きなインパクトを与えた。十日目に1敗の前頭五枚目・大の里(二所ノ関)との直接対決を制して、初の賜杯に一歩前進した尊富士は、十一日目にも大関・琴ノ若(佐渡ヶ嶽)を寄り切りで撃破。大の里が星の差2つで尊富士を追いかける格好で十二日目を迎えた。
十二日目に大関・豊昇龍(立浪)に小手投げで黒星を喫し、初日からの連勝が11でストップ。1場所15日制となった昭和24年以降、新入幕で初日から11連勝の最長記録を保持していた昭和の大横綱・大鵬の記録更新とはならなかったが、連日上位陣との対戦でも堂々とした取り口を披露し、ここまで1敗を守っていた。
勝てば大記録達成の十四日目、元大関の前頭筆頭・朝乃山(高砂)に敗れ、優勝は決められなかった。それどころか、右足を痛めてしまい、自力で歩けず救急搬送される事態となった。
千秋楽に出場するか否かが注目されていたが、尊富士は土俵に上がり、見事、豪ノ山を撃破。自らの手で、歴史を塗り替えた。その瞬間、館内は大歓声に包まれた。
“荒れる春場所”という言葉にふさわしく、序盤から上位陣が崩れていく中、“ざんばらV”を目指すライバル・大の里とともに今場所をけん引した尊富士。出世が早く、大銀杏を結うことができない力士が、相撲界に新たな風を吹き込んだと共に、偉大なる記録を樹立した。
■尊富士 プロフィール
本名:石岡 弥輝也
生年月日:平成11年4月9日(24歳)
出身地:青森県五所川原市
身長:184.0センチ、体重:143.0キロ
初土俵:令和四年九月場所、新十両:令和六年一月場所、新入幕:令和六年三月場所
(ABEMA/大相撲チャンネル)
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