WRC(世界ラリー選手権)の「クロアチア・ラリー」の競技最終日。トップ争いをしていたエルフィン・エバンス(トヨタ)にアクシデントが発生して、順位が一気に入れ替わる番狂わせが起こった。
この日、最初のSS(スペシャル・ステージ)となったSS17は、日本人選手の勝田貴元が今年のクロアチア・ラリーで初のトップタイムを記録。総合順位は、2日目終了時から引き続き、首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)、2位はエバンス(トヨタ)という状況であった。
そして迎えたSS18、エバンスが走行している姿を捉えた上空からの映像をよく見ると、ボディ後方に何か違和感が……。なにやら木の枝のようなものがリアタイヤ周辺に刺さっているように見える。そしてボディサイドには激しい汚れがついていて、タイムも「+19.4」と驚くべき数字を表示。
その答えは、エバンスが直前の森林セクションで見舞われたアクシデントにあった。道幅の狭いこのエリアの右コーナーで、エバンスが操るGRヤリス・ラリー1はドリフトでリアを流し過ぎてしまい、そのままコースサイドの土壁に激突。さらにマシンはスピンを喫し、180度反対側、つまりコースのスタート側を向いて停車してしまった。
しかし、さすがはトヨタのエースドライバー。すぐさまこの細いコース幅の中でスピンターンを決行し、元々向かっていたゴール方向へマシンを向き直させると、一気に加速を開始している。SS18の最終的なタイムは、トップのオィット・タナック(ヒョンデ)から約20秒遅れとなったエバンスだが、トップ争いを繰り広げていたヌービルも同エリアでマシンを木に激突させてしまったため、最終的には総合2位でフィニッシュ(ヌービルは総合3位)。
このエバンスの衝撃的なスピンクラッシュに、WRC公式X(旧Twitter)も思わず反応。「Lucky escape」、つまり「幸運な脱出」との言葉が添えられ、多くの反響が寄せられた。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)