将棋以上に思ったように進まないのがドラフトだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」ドラフト会議の模様が4月27日に放送され、渡辺明九段(40)は1巡目に山崎隆之八段(43)、2巡目に岡部怜央四段(25)を指名した。ただ1巡目は抽選で2回続けて外れくじを引くという不運もあり、予定していたチーム構想は一変。「プラン的には崩れましたね」と苦笑いしつつ、急遽考えた新チームで強さとエンタメの両立を目指す。
【映像】ABEMAトーナメント2024 ドラフト会議結果一覧
渡辺九段のチームは例年、盤上では熱い将棋を、盤外ではチーム動画などでファンを抱腹絶倒させるようなコンテンツを生んできた。ただ、今回のドラフト前にはエンタメ路線を封印し、ガッツリと将棋を突き詰めるようなチームにしようかと考えていた。そして最初に名前を書いたのがタイトル戦への出場が続く若手筆頭・伊藤匠七段(21)だったが、指名が重なりゲットならず。“外れ1位”でも佐々木大地七段(28)の指名が重複し、またはずれ。獲得を目指していた2人が取れず、方向転換を余儀なくされた。
ここまで崩れては、もう開き直るしかない。3度目となる1巡目指名で、山崎八段を選んだ。年代も近く、所属は東西に分かれているが、顔を合わせれば情報交換する。ただし内容は「完全にゴシップ系の話とか、棋士の交友関係の話とかがメイン」と大笑い。しっかりと将棋について語り合うのは今回が初めてかもしれない。
2巡目にはかわいがっている後輩、岡部四段を選んだ。前回大会では初出場ながら健闘。場にも慣れ、よりのびのびと指すことへの期待も込めた。「たぶん山崎さんと岡部君は初対面だと思うし接点もない(笑)」と、このチームで初顔合わせになることで生まれる“何か”も楽しみだ。
昨年度に無冠となり、一からの出直しと語る渡辺九段。当初のイメージとは異なるものになったが、やはり強さと楽しさが両立してこそ“渡辺流”でもある。「今までの僕のチームとはカラーも違うので、楽しくやっていけたらいいのかな」と話すように、新境地を開拓できるか。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)