【写真・画像】“健康食”しか食べられない摂食障害「オルトレキシア」でむしろ不健康に? 医師に聞く「なりやすい人」とは 1枚目
【映像】「健康的な食事でない人を見下す」…あなたは大丈夫? 「オルトレキシア」チェックリスト
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 拒食症や過食症などの摂食障害の1つに「オルトレキシア」というものがある。自分が健康的だと思う食事しか食べられなくなるというが、むしろ、不健康になる可能性があるという。

【映像】「健康的な食事でない人を見下す」…あなたは大丈夫? 「オルトレキシア」チェックリスト

 「すごくそれ(食材)にお金をかけて、そのことばっかり考えて、頭の中が食べ物ばっかりという時期もあった」

 こう話すのは、思春期に過食や拒食を繰り返すなど20年以上もの間、摂食障害に悩んでいる井上真理子さん。昔から、体形や美へのコンプレックスが強く、27歳のときに新たに発症したのがオルトレキシアという摂食障害だった。これは小麦がダメ、動物性食品がダメなど、「自分が健康的だと思える食事以外は食べられなくなる」というもの。

 きっかけは、「食べてきれいになる」と謳われたダイエット本。紹介されていたのは、オーガニックな野菜や果物、良質の油を摂るという食事方法だった。

 「『きれいに痩せるためにはそういうものを食べなきゃいけないんだ。ちゃんと栄養摂れば痩せていくんだ』と思った時に、それをしないことが逆に怖くなってしまって…。『それ以外のものを食べたらいけないんだ』となってしまった」(井上さん、以下同)

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 極端な健康志向に陥り、偏った食べ方に走ってしまう。

 「よく食べたのはルッコラ、ベビーリーフ、スプラウトみたいなものと、豆、サーモン、オリーブオイル、ナッツなど。食べるものにすごくこだわるようになってきて、それが行き過ぎてしまった部分もあって、生活に見合わない金額をどんどん食品に費やしてしまったり、食べたくないものが増えた」

 食べ物への強烈なこだわりのために、家族にも影響が…

 「夫と休日にスイーツを買って家で食べようって思っていたのに、スイーツショップの前に行くと、心臓がバクバクして、鬱々して、帰りたくなった時もあった。(私の)目の前で甘いものを食べなかったり、少なからず夫にも影響はあった」

 オルトレキシアによる生活への支障。このサインを見逃さないで欲しいと話すのが、オルトレキシアに詳しい、パークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長だ。

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 「オルトレキシアは健康と言われているものしか食べられなくなる。それだけじゃなくて、食べられなくなることによって、日常生活に支障が出てしまって初めて治療対象になるのがこの疾患の特徴だ」(立川秀樹院長、以下同)

 自分ではいいことをしていると思い込んでいるので、対人関係などの支障が出ないと、オルトレキシアに気付くのは難しいという。

 「健康にこだわる、これは決して悪いことではなく良いことだが、そのために友人と会えない、お子さんとうまくいかない、旦那さんともめる、仕事に行けなくなる。トータルでみて、できないことが増えるから『これ、損だな』と思える人はオルトレキシアにならない。損得を全体的に考えられずに、部分だけで損得を判断してしまう方がなりやすい」

 自分がいいと思ったら、それしか見えなくなってしまう…物事を俯瞰して見るのが苦手な人がかかりやすいという。

 「本人が大腸がんや高脂血症になって『これではダメだ』と考えて(健康法を)探し始めてドツボにハマってしまう方も多い。また、ネットで芸能人や海外の俳優がやっているような健康法にこだわってしまうことも」

 このこだわりの強さは、ありえない不安感にとらわれ、過剰な行動を繰り返す強迫性障害にも通じるため、これらは併発することも多いという。

 「強迫傾向が強い方はオルトレキシアになりやすい。思考・行動が自分でもバカバカしいと分かっちゃいるけどやめられないのが一般的な強迫だが、オルトレキシアの場合は本人がバカバカしさをわかっていない。その点が一般的な強迫とは異なるが、やめられないという点については強迫と似ている」

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 いいと思い込んだら、やめられない…こだわりが強すぎる考え方を変えるべく「認知行動療法」を行うことが、オルトレキシアの回復につながるという。

 「ある健康の記事に対して『これって本当に平均的に言われてるのかな』とか、『単なる一本の論文。優位性ちゃんとあるの?』とまず考えるべき。考えた結果、『これは怪しいからやらない』となればいい。こんな(考え方の)癖を変えることによって、正しく判断できるようにするのが認知行動療法だ」

 井上さんも、認知行動療法などの治療を経て、オルトレキシアを克服したという。

 「認知行動療法がきっかけになって、(オルトレキシアに対する)自分なりの回避の仕方を見つけられた。『この人が良いって言ってるからいい』と鵜呑みにするのではなく『なぜそれがいいのかな? 他の人はどう言ってるのかな?』などと調べる力だったり、『それで自分は本当に心地いいの? 体は満足しているの?』などと内側に向き合うことも大事なんだと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)

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