OECD(経済協力開発機構)の報告書によると、1975年生まれで子どものいない女性は日本が28.3%と比較可能な26カ国で最多となった。
また、1955年生まれで子どもがいない女性の割合と比べると16.4ポイント増加しており、この「増加幅」も最も大きかったという。
教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は28.3%という数字について「実は私自身が1975年生まれで子どもがいないため、この28.3%の1人だ。私たちの世代は就職する前年に山一証券の破綻などといった金融危機があり、『ロスジェネ世代』と言われる最初の年で経済がよくなかった。結婚・出産には様々な要因が作用するが、経済状態も大きく影響したと思われ、本来であれば当時から就職や賃上げなどのサポートをするべきだった」と分析した。
では、今からできる効果的な少子化対策とは何なのか?
中室教授は「少子化対策は大きく分けて2つある」と述べた。
「1つは、今すでに子どもがいる世帯に対する支援であり、これは都知事選の争点となっている。だが私はこの世帯に追加支援をしても効果は限定的だと考えている。なぜなら、ノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・ベッカーが提唱した『量と質のトレードオフ』という理論にもあるように、家庭が何らかの支援を受け取ったとしても、2人目、3人目の子どもを産むのではなく、今いる子どもに対してよりしっかりと投資をしようとするからだ」
「2つ目はまだ結婚してない、子どもがいない若い人たちへの支援だ。こちらについては国も都も議論が不十分だが、個人的にはより重要と捉えている。具体的には公教育への投資を行うべきだ。なぜなら景気の状態によらず塾や習い事に対する教育費は増加の一途を辿っており、幼稚園から高校まで公立に通うと給食費・食費なども全部含めて500万円程度だが、全て私立にすると2000万円かかる。この差は非常に大きく、若い世代は『自分には無理』と諦めてしまう。そこでもし公教育が充実して、学校の中でちゃんと勉強さえしていれば塾に行くこともなく受験も乗り切れると人々が信じることができれば教育費の負担感はグッと減るだろう」
さらに中室教授は現在の異次元の少子化対策や都で行なっているような「家計に対しての学費の減免、あるいは現金給付」は教育費を増加させる方向にしか働かないのでは、と警鐘を鳴らした。
「最近韓国で発表された研究によると、高所得の世帯の教育費を増やすと、低所得の家庭も教育費を増やすという。つまり、『同級生のあの子が教育にお金をかけるのなら、私たちもお金を使わないと』、というように教育費とは周囲の人の動向を見て決まるのだ。そう考えると、教育費を直接支援しても教育費を膨らまる方向に進むだけではないか。そうではなく、公教育をもっと充実させて、より良い先生を呼んできて、質の高い教育をする方向にもっとお金を振り向けた方がいいのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)
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