弁護士のモラルが低下中?
【映像】「悪質化つ手口も巧妙…」今年になって起訴された悪徳弁護士
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 「代理人を依頼したのに連絡がない」「着手金を払ったのに動いてくれない」など弁護士に対する不満の声があがっている。近年では毎年2000件以上、東京弁護士会への依頼人からの苦情が高止まりしているという。

【映像】「悪質化つ手口も巧妙…」今年になって起訴された悪徳弁護士

 さらに、弁護士が逮捕・起訴され、有罪判決を受ける事案も出てきている。今、弁護士の世界では何が起きているのか。弁護士を選ぶ時に気をつけるべきことは何なのか、『ABEMA Prime』で、弁護士の不正を監視する人と共に考えた。

■弁護士の現状

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 「東京弁護士会」によると、弁護士に対しての2023年の苦情件数は2695件。「弁護士自治を考える会」代表の市井信彦氏は、「(苦情件数は)もっとあると思う」との見方を示す。「弁護士に苦情が来ていることをすぐに言わない。3件あったら、初めて連絡して、『こういうことがあった』と伝えるだけだ。弁護士はけんかの助っ人を買うようなもの。昔は相手からの文句は結構あったが、今は依頼した人からの苦情が多いのが特徴だと思う」と説明した。

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 市井氏によると、トラブルで多いのが、キャパオーバーの案件を抱えていて、弁護士本人の処理・認知能力の低下などの「依頼を請け負ったが処理できていない」ことだという。また、手付金だけ受け取って仕事しない、弁護士自身が詐欺の主体のケースなどの「着手金詐欺」も多い。

 また、手口は巧妙化していて、裁判で2千万円勝ち取ったのに、依頼者には1千万円勝ったと判決文を偽装し、ウソの報告をすることで差額を着服するケースや、弁護士資格を持っていない人物に名義を貸して報酬の一部を取る「非弁連携」といった、悪質な事案も目立つという。

 そもそも市井氏が代表を務める、「弁護士自治を考える会」の活動内容は、官報掲載の弁護士の処分をデータベース化し、不正を行う弁護士を監視し、懲戒請求することもある。設立した経緯には、自身が"悪徳弁護士"に苦しんだ経験がある。約20年前に市井氏の親族間で相続問題があり、従兄弟の弁護士が突然相手方の代理人になったことをきっかけに、懲戒請求し「戒告」処分となった。その経緯をブログに書いたところ、全国から応援され会を設立した。

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 市井氏は弁護士業界について「自浄作用がない」との考えで、「例えば懲戒請求という制度があるが、弁護士に苦情を言っても、ほとんど証拠にならない。お金を取った、お金を返さない、それから事件放置。それくらいでやっと戒告になるぐらいだ。なかなか取り扱ってくれない。本当に悪いのは先にクビにしてしまい、表に出さないなどのケースだ」。

 また、司法試験に合格したら、日弁連に所属しないと業務ができないことを問題視する。「日弁連のご機嫌を損ねると、仕事ができないから言うことは聞く。例えば懲戒を出されても、ごめんなさいと言えば、処分が出ないことはたくさんある。日弁連、各弁護士会の綱紀委員会が動いていない」と訴えた。

■「弁護士会も自民党の派閥と一緒」

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 「弁護士白書2023年」によると、弁護士は「司法制度改革」以降、右肩上がりで急増。2000年の1万7126人から、2023年には4万4961人まで増えてきている。

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 「森・濱田松本法律事務所」パートナー弁護士、内閣府規制改革推進会議で委員を務める堀天子氏は、弁護士が仕事をしない、依頼人が騙されてしまうケースを「言語道断だと思う」と問題視する。一方で「弁護士の数が増えた結果、インハウスという形で会社側にも、依頼者側にも弁護士がいる。弁護士と依頼者は対等な関係で、一緒に仕事をやっている仲間で、むしろ弁護士は選ばれる方だ。だから、民間の人も選ぶ時代になったのではないか」との見方を示す。

 また、「最低限、詐欺みたいなところだったらバーチャルオフィスになっているとか…。自浄作用が必要だと思うが、一般のサービス業と同じだから、『よく選んでください』と言いたい」と補足した。

 弁護士を比較できる情報がないことについては「一人の友達を作るみたいなのは絶対に駄目だ。自分が訴えられた時に和解をしたいのか・戦いたいのか。その時に相手の弁護士を調べることをみんなしない。例えば、第二東京弁護士会が出てきたら、こっちは神奈川にするとかしないと喧嘩にならない」との考えを述べた。

 市井氏は、弁護士会に対して「みんな派閥でできている。解散したが、弁護士会も自民党の派閥と一緒だ」と話し、堀氏は「もうほとんどない」と応じた。

■いい弁護士を選ぶには?

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 「弁護士白書2023年版(去年3月31日時点)」によると、弁護士は30代と40代がそれぞれ12000人以上で割合を占めているが、70歳以上が5739人いる。

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 市井氏は、80歳を超えたら資格取り上げなどの「定年制」、「免許を適宜更新する仕組み」など、ベテラン弁護士のチェック体制を設けるべきとの考えだ。

 市井氏いわく、いい弁護士を選ぶには「ネット情報をうのみにしない」、「弁護士の実績に騙されない」、「弁護士自治を考える会の『懲戒処分検索センター』を活用する」。もしくは「防衛のために、弁護士ドットコムなどのレーティングを見るのもいいと思う。口コミも確認しながら弁護士を選ぶ。ペーパー試験をやっているからといって、みんなが信頼できる人じゃない」と説明した。

(『ABEMA Primeより』)

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