■ネット上で進む二項対立化「ネットの嫌な感情が市民感情に降りている」
在留資格のない人を強制送還できるのは川口市などの自治体ではなく、国によってのみ可能となっている。現状を踏まえ、川口市は昨年9月に法務大臣に要望書を提出。主な内容は不法行為を行う外国人に対して厳格な対処を求めるものに加え、仮放免者が最低限の生活維持ができるように「監理措置」制度と同様の就労可能な制度の構築、さらに生活が困難な仮放免者などについて健康保険をはじめとする行政サービスの援助措置を含め、国の責任で適否判断をする、というものだった。ただしこの要望書はいわゆる“炎上”状態となり、ネットを中心に排斥感情も高まった。小見山氏は「仮放免の人たちの居心地を良くしてどうするんだという意見だった。これもかなり誤解されているが、川口市の要望の趣旨はあくまで強制送還する前提でそれまでの間、時限的に認めてはどうかという提案だ」と説明。さらに感覚としては「もともとは川口市内のローカルな問題だったのに、ネットでものすごく加熱をし、ネットの嫌な熱が逆輸入的に市民感情に降りてきている」と述べた。
排他的な声も高まる一方で、このクルド人たちを守るべきという声も出始めた。小見山氏は「とにかく主語が大きくなっていて、クルド人はみんな嘘つきなんだとか、みんな偽装難民なんだと極端なことを言う人もいれば、クルド人はみんなかわいそうなんだと、逆側の極端な大きいことを言う方もいる。白なのか黒なのか、右なのか左なのかみたいな、こういう二項対立になっていることは本当に危険だなと思う」と語った。
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