「タコは知的で問題解決能力に優れ、痛みやストレス、恐怖などを感じる生き物です」
9月27日、アメリカ・カリフォルニア州で成立した法案。それが「タコの養殖禁止」だ。
背景にはタコが持つ「高い知能」がある。見た目も不思議で、多くの謎を持つタコの生態について、琉球大学の池田譲教授に聞いた。
「まず体のつくりが特徴的で、人間と同じような目を持っている。背骨がない動物の中で『単レンズ眼』を持っているのは極めて例外的だ。それから、脳が大きいという特徴もあり、学習することができる。学習自体は様々な動物がするが、タコは図形を見分けるなど複雑な学習も可能だ」(池田教授)
水槽の前に現れた2種類の図形を見分けるなど、タコにとってはお手のものだ。
さらに、他のタコの学習の様子を見て模倣する「観察学習」やエサの入った瓶のふたを開けるなど、他の動物には難しいこともタコにはできることがわかってきている。
優れた目や脳を持ち、高い知能を備えるタコを間近で見ていると、その繊細な部分を感じられる場面もあると池田教授は話す。
「日本のマダコを水槽の中で一緒に飼うと、嫌がってどちらかが出ていったり、中に置いた壺を動かして均等な距離をとるなどの行動が見られる。また、多頭飼いの状態になるとストレスになるだろうと感じられる」
現在、日本でも養殖の研究は行われているが、産業化には至っていない。エサやタコの生育に適した環境づくりに大きな労力がかかり、そのコストが大量生産の壁となっているためだ。
カリフォルニア州での法案成立は、日本の食文化を支えた捕鯨への圧力を思い起こさせる。タコを食べる習慣がない国々で反対の声が広がれば、養殖の研究にも影響が出る可能性があると池田教授は懸念を示している。
「食べない国の人から見たら日本は異様に映るかもしれず、それがタコに対する捉え方の違いにも結びつき『タコは知的な動物だから守るべきだ』という発想に容易に行き着くことがある。特に日本には魚食文化があり、キャラクターや人形といった独特の“タコ文化”もあって、タコを軽んじているのではなく愛しているとも言える。産業ベースの養殖は様々な恩恵をもたらす側面もある。人間は何かを食べないと生きていけないので、必要なことでは」
“タコの養殖禁止”法案について、アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授は「どこの州でも謎めいた法律がある。おそらく、カリフォルニアの“意識が高い人”による『心を持っているタコを苦しめるなんて!』『アニマルライツだ!』という感覚から出てきた法案だろう。(多くのアメリカ人には)タコを食べる習慣がそもそもないので、以前私がアメリカのスーパーでタコを買おうとしたところ『どうやって食べるの?』と“いちゃもん”をつけられたことがある。海の底をスライドしてる様子が“悪魔の使い”のように見えるのだろう」と分析した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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