将棋の第37期竜王戦七番勝負第2局が10月19・20の両日、福井県あわら市の「あわら温泉 美松」で行われ、挑戦者の佐々木勇気八段(30)が藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)に103手で勝利した。佐々木八段にとっては、シリーズ初白星とともに“タイトル戦初勝利”となる大きな1勝となった。
絶対王者を相手に、“勇気曲線”を描き嬉しい初勝利を飾った。シリーズ黒星発進で迎えた第2局。佐々木八段の先手で矢倉模様の出だしとなると、右玉の秘策を藤井竜王へとぶつけた。手探りの難解な将棋へと発展したものの、佐々木八段は積極的な姿勢を貫きペースを握ることに成功。快調にリードを拡大させていった。
しかし、前に座るのは終盤の鬼・藤井竜王だ。苦戦を意識した藤井竜王は、渾身の勝負手を連発。局面を複雑化しつつ、佐々木八段へプレッシャーをかけていった。超高難度な勝負手に佐々木八段も連続長考となったものの、自分を見失うことなく前進。最後まで正確な指し回しで藤井竜王を圧倒し、終わってみれば相手に一度もリードを許すこなく勝ちに繋げる“勇気曲線”を描いた佐々木八段がシリーズ初勝利を手にした。
佐々木八段は「1局目は研究将棋だったので、2局目は少し趣向を変えた。ずっと難しい将棋だなと思っていた。2日目の休憩明けは少し良いかなと思っていたが、粘りの手段を与えてしまって、逆転されてもおかしくないかなと思って指していた」と一局を総括。第3局は日にちが近いのでしっかりコンディションを整えたいのと、第5局が指せることを嬉しく思います」とコメントした。
本シリーズがタイトル戦初登場の佐々木八段にとっては、本局が大舞台での初白星ともなった。藤井竜王との通算対戦成績は3勝5敗と上回られているが、この一勝の価値は計り知れない。勢いに乗った佐々木八段が、今後の番勝負でどのような飛躍を見せるのか。期待せずにはいられない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)