専業主夫として妻と2人の娘たちと北関東で暮らすツナ缶さん(30歳)。独身時代は都内で働いていたというが、なぜ、専業主夫の道を選んだのか?
「大きなきっかけは、結婚に伴って妻の実家の近くに引っ越したこと。(以前の職場と)距離が離れたので、仕事を辞めた」(ツナ缶さん、以下同)
子どもを授かる中で、ツナ缶さんが再就職するか、妻が職場復帰するか、それとも共働きか。夫婦で何度も話し合い、結論を出した。
◼︎“家のことが得意な私”が家事をやる
「今の地域では妻の収入と同等かそれ以上の収入を得ることは難しい。それならば、無理に働かなくても、“家のことが得意な私”は家事をやった方が合理的だという結論に至った」
生活水準を落とすことなく生活できるなら、と自ら家に入ったツナ缶さん。しかし、周囲から理解を得られなかったことも。
◼︎「普通じゃない。子どもにも影響が出るかもしれない」
「最初は私の親も妻の親も『しょうがないよね』から始まった。内心では『一般的には男の人が外で働き、女の人が家事育児をするよね』という気持ちがあったようだ。母親からは『男の子が働かないのは普通じゃない。子どもにも影響が出るかもしれない』と言われた」
厚生労働省が発表した2023年度の男性の育休取得率は過去最高の31.6%に達し、男性の育児参加を促す動きが進んでいる。しかし、ツナ缶さんは育児の現場で母親が前提とされることが多いと感じている。
「子どもを連れて病院の健診に行くと、スタッフさんから『今日、お母さん来られなかったんですか?』と言われることが多く、母親が面倒を見る前提で話をされる」
家族4人で金銭面でも精神的にも何不自由のない生活ができていると話すツナ缶さん。下の子が幼稚園に入るまではこの生活スタイルを続けたいと考えている。
「働きたいか働きたくないか、家のことをやりたいかどうか、しっかり夫婦で話し合うこと。結局、その家庭で一番うまく回る方法がベストだ」
◼️トイレにおむつ交換台がない
令和の現在、専業主夫を選択している人はどれくらいいるのか?
家計診断・相談サービス「オカネコ」調べによると、共働き=62.9%、専業主婦=30.3%、専業主夫=5.9%、となっており、専業主夫は極めて少数派、というわけではない。
また、10代から30代の男性に対して、「専業主夫になりたいですか?」という質問をし、「相手や経済事情が許すならなりたい=49.56%」「絶対なりたい=9.78%」という回答を得たという調査もある(STRATE調査)。
とはいえ、“現場の苦悩”は少なくない。ツナ缶さんは「抱っこ紐のサイズが合わない」「オムツ替えの設備が整っていない男性トイレがある」「行政からのお知らせも“母親向けの文言”が使われている」と口にする。
これに対し、Schooエバンジェリスト滝川麻衣子氏は「ツナ缶さんの話を聞いて『育児は女性がやるもの』として社会が設計されている現在地を再確認した」と述べた。
「例えば、商業施設の授乳室では、ミルクはもちろんだが母乳をあげている女性もいる。たとえケープをかけていても、赤ちゃんを連れている男性が近くにいると気になる人もいるだろう。『個室にする』など対策はあるはずだが十分ではなく、基本的に授乳室=女性が使うという認識で作られるケースがある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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