今夏に鹿島アントラーズからマインツに加入したMF佐野海舟が、1年目のブンデスリーガで早くも異彩を放っている。
とりわけJリーグ時代から得意だったデュエル(主に1対1の競り合い)は、ドイツでも十二分に通用。10節終了時点でデュエル勝利数は実に108回。この数字はチーム最多、ブンデスリーガ全体でも7位タイの記録だ。
実際、直近のドルトムント戦(11月9日)でもデュエルの強さはかなり際立っていた。中でも秀逸だったのが54分のシーンだ。ドルトムントFWセール・ギラシがボールキープした場面で、佐野は素早く距離を詰めて身体を寄せ、ターンをして前を向こうとした相手を完全に制限。176cm・67kgの佐野が187cm・82kgのギラシをシャットアウトし、最終的には味方のフォローもあってボール奪取に成功している。
この体格差をまったく物ともしないデュエル勝利シーンには、ファンからも「エグすぎるやろ笑」「佐野回収」「佐野バケモンすぎる」「すげえ」など称賛の反応が出ていた。
ドイツでは“デュエル”のことを“ツヴァイカンプフ”と呼び、とりわけ1対1の強さを伝統的に重要視してきた。どんなにボールテクニックが優れていても、攻守で闘えない選手、1対1で勝てない選手は決して評価されない。「ツヴァイカンプフが強い選手」は「良い選手」と同義語であり、その意味で闘争心旺盛で強靭でもある佐野は、実にブンデスリーガ向きのプレーヤーと言えるだろう。
それこそ同じ守備的MFの大先輩である遠藤航は、シュトゥットガルト時代の2020-2021シーズンと2021-2022シーズンに連続でブンデスリーガの“デュエル王”に輝いて名声を高め、2023年夏に名門リヴァプールへの移籍を勝ち取った。まだ23歳と若く伸びしろも大きい佐野も、同じくデュエルを武器に評価を高めてステップアップを遂げていっても何ら不思議はない。
(ABEMA/ブンデスリーガ)