■日本は「女性の心が折れるような雇用市場」「若い人に寄せた対策を」
天野氏の訴えは、「未婚化対策こそ少子化対策のカギ」。「夫婦が持つ子どもの数は50年変わらないが、出生数と婚姻数はきれいに落ちている。“カップルなくして出生率なし”というのは統計的事実だ。また、結婚したい人が8、9割いるという水準は30年前と変わっていない。変化しているのは理想とするライフコースで、今の若者は夫婦同士で経済的に支え合う形を最も選択している」。
背景をこう説明した上で、「日本はOECD38カ国の中でも下位の、20%以上の男女の賃金格差がある。要は、心が折れるような雇用市場を用意しているような状況だ」「今50代以上の人で若い頃に夫婦共働きを支持していたのは1割ぐらいで、そうした人が経営者や管理職になっている。この価値観の格差に気づいて、労働市場を若い人が希望している形態に寄せていく対策があってのばらまきではないか。子どもを生んでくれるのは若い世代であって、中高年ではない」と主張した。
経済学者で慶應大学名誉教授の竹中平蔵氏は「経済的インセンティブは間違いなく重要。一方で、非常に大きな構造問題があり、日本は選択的夫婦別姓すらできない。出生率が2.07を下回ったのももう50年前で、こうなることはわかっていた。労働市場改革も今の政府にはできないという意味では、1兆円で実験してみたらどうか」との見方を示す。
これらを受け、小黒氏は「一番重要なのは機会費用で、“女性も男性も育児をしながら働くのは難しい”という問題も両建てでやらないといけない。ただ、夫婦で2人生んでいる現状で人口増加に転じることは不可能だ、ということを申し上げている」とした。
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