将棋日本シリーズJTプロ公式戦・決勝が11月24日、東京都江東区の「東京ビッグサイト」で行われ、渡辺明九段(40)が広瀬章人九段(37)に106手で勝利。5年ぶり4度目の優勝を決めた。
2019年大会決勝と同一対決となった注目の一局。振り駒の結果で広瀬九段の先手となると、雁木模様の出だしとなった。積極性を見せる広瀬九段に対し、渡辺九段も呼応。早々に勝負所へと突入した。
高難度のねじり合いとなった中盤戦では、繊細な競り合いの中から渡辺九段が抜け出すことに成功。後手は鮮烈な角打ちで先手陣に迫り、リードを拡大させた。一瞬の隙に差をつけられた広瀬九段も、簡単には譲れない。玉を前進して抵抗を見せたもの、渡辺九段がスリリングな最終盤を制し勝利を飾った。
勝利した渡辺九段は「途中から手詰まり模様になって難しかったが、後手番なのでやってもらう感じだった。封じ手再開後は難しく、いろいろな手がある将棋だった」と一局を総括。一方、5年前のリベンジには至らなかった広瀬九段は「序中盤が雑で、先手番としては大失敗だった。苦労する展開を強いられ、あまりチャンスのない将棋で残念だった」と肩を落としていた。
この結果、渡辺九段の5年ぶり4度目の優勝が決定。JT杯を手にした渡辺九段は、「棋戦優勝自体久しぶりなので、目に見える結果が出たのは嬉しい」とコメント。「棋戦優勝自体も5年ぶりということで、そんなに遠ざかっているかと。タイトル以上に遠ざかっているのかなというのがあったので、そういう意味でも勝ちたいなと思っていた。今年は怪我をしたり、良いことがなかったので最後にこういういいことがあって良かった」とし、晴れやかな笑顔を見せた。
◆渡辺 明(わたなべ・あきら) 1984年(昭59)4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年四段昇段で史上4人目の中学生棋士となる。2004年、20歳8カ月で初タイトルの竜王を奪取。以降、名人3期、棋王10期など歴代4位となる31期の獲得を誇る。竜王と棋王は永世資格を保持。棋戦優勝は12回。プロ入り25年となった今期には、紫綬褒章を受章した。趣味は野球、競馬、カーリング、サッカーなど多種多彩。
(ABEMA/将棋チャンネルより)