未だ無償化の対象となっていない0歳から2歳の第1子保育料。これを無償化しようという公約を7月の都知事選で掲げていたのが小池百合子都知事だ。
【映像】ひと目で分かる! 東京or神奈川、どっちに住むべき?
「社会全体で子ども、子育てを支える。結婚、出産、子育てへの不安をシームレスに解消することが不可欠だ。そのため、不妊治療費や卵子の凍結への支援、所得制限なしの018サポート、第2子保育料の無償化、都立大学の授業料の実質無償化を進めてきた。子育て、教育にお金がかからない東京を目指す。保育料の無償化を第1子まで拡大する」(小池都知事)
先週、これが来年秋以降に実現する見通しだとする一部報道が出ると、SNS上には「お金は出すけど口は出さない最高の義母感ある」「東京在住のワーママにとって、百合子は最高の義母」といった声が上がった。
第1子から保育料が無償になれば、東京都ではすべての子どもが5歳まで保育料がかからず、子育て世帯にとって大きな負担減になる見込み。
しかし東京都は家賃など生活費が高額になりがち。もし第1子から保育料が無償になれば、子育て世帯は東京都と神奈川県、どちらに住むのがお得なのか?
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんは「保育料は世帯の年収によって変わる。例えば、35歳の夫が年収450万円で32歳の妻が年収300万円の世帯があったとすると、第1子の月の保育料は約3万3000円で、3年間無償になるとおよそ120万円になる」と説明した。
東京都では他にも0歳から18歳までの子どもを対象に月額5000円を支給する「018サポート」や、都立大学の授業料無償化なども進めている。
「18歳まで毎月5000円もらうと108万円になり、保育料無料と018サポートを合算すると228万円になる。また、都立大学の授業料無償化は4年間で約250万円になるため、これが東京都民の恩恵だ」(飯村さん)
第1子の保育料が無償化し、さらに大学まで公立で進んだ場合、「教育費ゼロ円」で済む可能性があるが、東京都は家賃や生活費が高額な点がネックとなる。
仮に東京都の家賃が17万円、神奈川県が12万円とすると、年間60万円、18年で1080万円の差が出る。加えて東京は物価も高い。以上を考慮すると、都立大学に進学したとしても“神奈川県の方がお得”ということになる。とはいえ、東京都内でも家賃の安い地域を選べば神奈川県よりお得になるパターンもあるだろう。
飯村さんはこの政策が実現した場合、経済的な支援と共に心情的なメリットもあると指摘する。
「保育料の無償化は精神的に大きな安心感をもたらす。特に子どもが小さい間、パートや非正規を選択した方の世帯年収は低くなるため、第1子の保育料無償は非常に大きい。経済的支援や教育費の負担軽減によって、子育て世帯が助けられることはとてもありがたいはずだ」
ところで、「東京での暮らし」は本当に豊かなのだろうか?
実は東京都は中央世帯のみの可処分所得が12位(全世帯の可処分所得は3位)、だが基礎支出が全国トップであるため、両者の差額から導いた「経済的豊かさ」は全国42位なのだ。
この点についてノンフィクションライターの石戸諭氏は「税収も安定しているから東京に住めばいいかというと(家賃や生活費が高いため)そうでもない。僕が東京に住んでいる理由は仕事をする上で便利で楽だからであり、その分の支出は許容するという考え。東京の近くの神奈川や埼玉、他の地方は『うちだったら東京よりも豊かな生活ができる』とアピールしてもいい」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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