■仮想通貨は法定通貨の代わりになりうるのか

石破総理の発言
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 「仮想通貨」と呼ばれるだけに、いずれは一般的な「(法定)通貨」と同様に使えるようになることをイメージ、さらには期待する人もいる。千野氏は「貨幣の話は専門の方がいろいろいらっしゃるが、基本的に今、法定通貨として流通しているものは日本円も含めて裏付けの資産はない。いわゆる不換紙幣というもので、銀行券を持っていっても日銀は金には代えてくれないものなので、ある種人々の信頼で成り立っているというのはビットコインと本質的には同じ」と述べた。

 これに佐々木氏は反論。「それは違う。今の不換紙幣は中央銀行がコントロールしている。日本でいえば日銀。その日銀が発行量をコントロールしてそれによって通貨の安定性を保っているわけで、ビットコインはその中央銀行にあたる存在がない。そうすると乱高下してもそれを誰もコントロールできない。だから通貨になり得ない。そこで日本円とか中央銀行が発行する通貨とビットコインが同じとおっしゃるのはかなりミスリード」と語った。

 何かと仮想通貨には出遅れている印象がある日本だが、千野氏によれば実は2013~2014年頃、世界で一番ビットコインを保有していたのは日本だという。そのシェアは50%超。「具体的に言うと円建ての取引が50%ぐらいあったと当時言われていた」が、現在ではわずか数%ほどに落ち込んだ。1つのきっかけは2017年に資金決済法を改正し、暗号資産・仮想通貨を営業するには金融庁への登録が必要になった。「いろいろな投資家を保護するための施策が導入されたということも、1つ要因としてはある」。

 また、イメージも悪かった。ハッキング事件が相次ぎ、預けていたものが知らない人に取られてしまうような事件が続出。「かなり否定的な報道がされて、取引を控える方が多くなっていった。その反面、海外では盛り上がりをすごく見せていたというのがあって、今、日本と海外との温度差がかなり出てきた」。

 佐々木氏は、この規制や、石破総理の慎重な姿勢を評価した。「投資家保護制度みたいな規制がしっかりしている。あと投資に関しては、企業活動に対して投資するわけで、それが経済活動に寄与し、GDPを増やす、日本全体の経済成長に寄与するところがあるから、税率を抑えている。だがビットコインに回した金は、結局マネーゲームにしかならず、経済活動に寄与するところがあまりない。そうすると、投資とビットコインが同じ税制20%にするのが妥当なのかというのは、石破さんの言っている通りだと思う。やってもいいと思うが、もうちょっと議論を深めないで、トランプがあんなに言っているのに日本だけ遅れているというのは、あまりにも雑な議論かなと思う」と述べていた。
(『ABEMA Prime』より)

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