ポップでカラフル、人目を引くデザインのだるま。赤や金という定番のイメージを覆したこのだるまを考案したのが、慶応義塾大学に在学中の学生起業家 髙橋史好さん(24)だ。
【映像】200万再生! 髙橋さん投稿「インドで女子高生がすごす日常」
「日本にいらっしゃる海外のお客様向けのお土産ブランドを展開している」(髙橋さん、以下同)
出身は群馬県高崎市。地元の伝統工芸品である「高崎だるま」をアレンジし、海外旅行者をターゲットにした商品として販売している。
高崎だるまは、縁起のいい鶴と亀が顔にあしらわれているのが特徴。そのアイデンティティは残しつつ、色味やロゴで遊び心を演出している。
髙橋さんが高崎だるまに目を付けたのは、もともと手掛けていたガラスリングの販売で、1月の初売りの際に縁起がいいからと地元のだるまをディスプレイしたことがきっかけだったという。
「通りがかるほぼすべての海外のお客様が写真を撮っていき、『売ってないんです』と伝えても『いくらでも出すから売ってくれ』と訴える中華系の方もいた。地元にたくさんあるものを、置き方・見せ方・ブランディングを変えたら、ここまで価値が変わると衝撃を受けた」
髙橋さんはすぐに行動開始。地元のだるま工房に飛んでいき、2週間後には販売を始めたという。
「一番大きいものが3万3000円で、二番目に大きいものが2万2000円、小さいものは6800円で展開している。原価ベースで値段を決めるのではなく『日本のこの町でしか作れない』『職人さんの命がこもった、この職人さんにしか書けない顔』などにもっと価値を付けていいと考えた」
なかなか強気な価格帯だが、外国人には大きめサイズが人気だという。日本人客はこぶりなサイズを買う人が多いそう。
16歳の時のインド留学が転機
即断力と商売気質のある髙橋さんだが、もともと起業とは無縁だったという。彼女が学生起業家となったのには、ある人物との出会いがあった。
「16歳のときに、一年間単身でインドに行ったことが、自分のキャリアの大きなきっかけになった。人生で初めて会った起業家は受け入れてくれたファミリーのお父さんだった」
ホームステイ先のホストファーザーが、ディベロッパー系の経営者で、シビアな交渉の場に連れ出されたり、新築ビルがどんどん建っていく様子を目の当たりにしたのだそう。
「今まで地元・群馬にいた時は銀行や県庁で働くことがカッコいいロールモデルだったが全く違う領域だった。安定とは全く別にリスクをとって挑戦していく起業家という職業に対しての強固すぎる憧れを持って『私、起業家になろう』と16歳の時に決めた」
帰国後は、インドで女子高生がすごす日常をTikTokに投稿。すると、200万回という再生回数を叩き出した。
その後、インド向けのYouTube開設や、群馬にトゥクトゥクを走らせるという事業を展開。YouTubeは2週間で収益課題を達成し、トゥクトゥクは現在も桐生市で使われている。そして、ガラスリングのブランドを立ち上げた後、高崎だるま事業をスタートさせたのだ。
この髙橋さんの起業家としての活躍が注目され、Forbes Japanの世界を動かすカルチャープレナー(文化起業家)30人にも選出された。
「だるま(事業)を始めて半年ほどで受賞したので驚いた。私たちチームはだるま業界と最も対極にありそうだった『パリコレに行く』を目標に掲げ、売り方・値付け・見せ方、全てにおいて土俵をひっくり返そうという思いがあった。今まで見たことがないようなだるまの売り方、だるまでの山の登り方のようなものを私たちが作っていけたらいい」
「メイド・イン・ジャパン」から「エクスペリエンス・ジャパン」
髙橋さんの活躍について、サンフランシスコと東京でデザイン会社を経営するBrandon K・Hillさんは「アメリカ人たちにとって日本のアニメやゲームだけでなく、文化やおもてなしのようなサービスも憧れの対象だ。かつては自動車・家電など『メイド・イン・ジャパン』が注目されていたが、今は日本での体験が素晴らしいという『エクスペリエンス・ジャパン』だ」と述べた。
ホテルも航空路線も足りない
訪日観光客もインバウンドも伸びている中、どのような課題があるのか?
東京都立大学の清水哲夫教授は「受け入れ態勢が心許ない」と指摘した。
「ホテルが取りづらく、航空路線においても直行便・国内路線も足りていない。また、観光業全体で担い手が不足、宿泊施設のリノベーションも“体験コンテンツ”も間に合っていないため、国がバックアップすることで消費単価を高めていく必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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