将棋の第37期竜王戦七番勝負第6局は12月12日、挑戦者の佐々木勇気八段(30)が前日に封じた73手目が開封され、午前9時すぎに藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)の手番で再開された。
決着か、フルセットか。藤井竜王の3勝2敗で迎えた第6局は、佐々木八段の先手で相掛かりの出だしに。両者の研究ががっちりと噛み合ったのか、相掛かり戦としては異例のハイスピードで進行。対局1日目の午前中に終盤戦へ突入した。これまでの5局でも深い研究で藤井竜王を翻弄してきた佐々木八段だったが、ここでも藤井竜王は持ち時間を多く消費しており、挑戦者の作戦勝ちかと見られていた。
先手ペースと見られていた本局だが、封じ手の定刻が見えてくる1日目の夕方に異変が発生。駒得で馬を好位置に配置している挑戦者がわずかに優位に立っているかと見られていたが、佐々木八段は解説陣とABEMAの「SHOGI AI」の候補には全く上がっていなかった端角を着手。予想外の一手に、中継に出演した佐々木大地七段(29)は「ちょっと浮かびづらい手で、メリットというメリットが少なすぎる。勘違いか何か錯覚があってもおかしくない」と印象を語っていた。これまで表情を大きく崩すことのなかった佐々木八段だったが、頭を抱えて「そうか」と声を漏らすなど、わずかに焦りとも見られる様子も見せていた。
対局1日目は、佐々木八段の角打ちの強襲に対して藤井竜王が冷静に応じたところで指し掛けに。手番の佐々木八段が封じ手に選んだのは、意表の香打ちだった。これには、ABEMAで解説を務める佐々木慎七段(44)も「これは予想外」とコメント。本命は攻め続ける手段となる馬の前進だったとあり、佐々木八段の狙いに大きな注目が集まっている。すでに終盤戦に突入している本局は、どのようなクライマックスを迎えるのか。
藤井竜王が本局に勝利した場合、防衛4連覇が決まる。挑戦者が勝利した場合、勝負は第7局へ。藤井竜王は過去13回参戦した七番勝負ではフルセットの経験はなく、すべて第6局までに決着を付けている。決着か、フルセットか――。鹿児島県指宿市の「指宿白水館」を舞台に争われる最終盤の一手一手から目が離せない。
持ち時間は各8時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)