■進む核家族化、大きくなる母親の負担
家庭内暴力や不登校は、どの程度増えているのか。少年による家庭内暴力の件数は、犯罪白書によれば2023年には過去最多の4744件とされ、また小中学生の不登校も文科省調べでは過去最多の34万6482人とされている。ただしジャーナリストの佐々木俊尚氏は「少年非行や少年犯罪の数が今多いかといえば、一番多かったのは昭和20年代で、その頃と比べれば減っている。そう考えると穏健化しているのは間違いない」と、正しい状況の把握を求めた。
その上で「根幹は全て核家族化。特定の小さな世界の中に求めてしまう我々の社会にある。太平洋戦争が終わってから、日本社会は封建的な制度からの脱却を言い続けて、大家族制をやめて、核家族化や個人の自立をずっと求めてきた結果、わずか4人、5人しかいない家の中で全部解決しなきゃいけないという方向に進んだ。その結果、お母さんが背負わされることになってしまっている構造の問題だ」と述べた。
不登校に関しては、人数そのものは増えているものの、かつてはどれだけ嫌がっても学校に行くものといった考え方から、無理してまで行かなくていいという考え方も徐々に広がっており、不登校を選択肢の一つとしたことが、この急増につながったとも議論された。
■「見守って信じましょうと言われてボロボロになっている家庭もすごく多い」
