■「見守って信じましょうと言われてボロボロになっている家庭もすごく多い」
実際、現場ではどのような対応がなされているか。安村氏は経験をベースに、様々なアプローチを試みている。「同年代の若いスタッフを連れて行ってまず話をする。本人の欲望をきちんと分析して、例えば10時間はゲームできないけど、5時間だったら対応できるなど話をして、少しずつ解消していく。ゲームも1人でやっているところを4人でやると、結構ノッてくれる子が多い。自動車のゲームが好きな子なんかは、一緒にドライブに行こうと誘うと、こんな風景が見られる、風が受けられると言ってもらえる」。その場でかんしゃくを起こしてしまったようなケースであれば「基本的に距離を置き、まず離れるのが絶対に必要。身を守り、プラスアルファでその時点ですぐ来てくれる人を頼む。できるだけ第三者を入れることが重要で、警察、児相、カウンセラーでもいい。とにかく家の中に来てくれて、本人と会ってくれるのが一番必要だ」という。
対応として、頻繁に聞かれる言葉は「見守る」「寄り添う」という言葉だが、現場に立つ安村氏からすれば、それは「標語」にすぎないという。「『健康でいましょう』というのと、同じレベルの言葉だと思っている。よく臨床心理士や児童相談所で『見守って信じてください。きっと良くなりますから』と言われておしまいになってしまい、家庭内がボロボロになっている例もすごく多い。長期的に一番怖いのが、自立ができず働けなくて親と一緒にいる状況。30歳、40歳、50歳になっても引きこもってしまうことだ。よく『子どもを社会が育てる』とも言われるが、今の日本で、子どもを社会が育てているかは疑問。ソーシャルワーカーが、ドアの外からもう一歩だけ家に入って話してもらうだけでも、全然状況は違うかもしれない」と語った。
(『ABEMA Prime』より)


