■美談で終わらせない報道のあり方は?

水島宏明氏
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 ジャーナリストの水島宏明氏は、当事者の話を受けて「報道の構造がある」といい、「どうしても亡くなった方はどんな方だったのか、人となりを聞く。誰が話すかは重要だが、亡くなったばかりで、親しい人の場合は言えない。一言で『どんな人ですか?』とマイクを突きつける相手は、近所の人、あるいはおじいちゃんおばあちゃんだったりする。それをやっている記者は、上司に指示された若手だったりするので、かなり雑にやってしまうことがある」と説明した。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥氏は「個人的に水難事故は美談報道しない方がいいと思っている。川の危険性を矮小化することになってしまうからだ。事故が起きた時、ニュースは注意喚起をするためにあると思う。それが伝わらず、助けに行ったことが良しとされて、そこだけクローズアップされるのは事故を防ぐことにならない」と主張。

事故報道における美談の必要性
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 一方で、それだけだと「どうしても人は見てくれない。人となりを聞いて、ファクトを並べたら美談になってしまったケースもある。過剰な美談報道をしないのは大事だが、人となりを聞いて、注意喚起も半々くらいになるようにして公益性を保つ必要がある」と作り手側への理解も示した。

 さらに、災害報道については、「『毎日何人が亡くなった』というニュースは、どうしても気分が暗くなる。当事者の気持ちは尊重された方がいいが、1人の人が救助された時に奇跡と言いたくなってしまう気持ちも分からなくはない」と述べた。

 どのような報道を求めるか。岡さんは「人となりを伝えないのも、それはそれで興味を持たれない点では良くないと思う。人となりは伝えてもいいが、伝え方や取材の仕方で、遺族がいいよって言ってくれるような情報を伝えてほしい。その上で再発防止策のこともお伝えしていただきたい」。

 阿部さんは「適切なタイミングで取材をしていただき、当事者の伝えたいメッセージを報じてもらいたい。東日本大震災では、たくさんの方が教訓を持たれている。その1つ1つが美談のような安直なものではない。それぞれのエピソードを拾っていただき、報じていただき、受け取る視聴者の皆様にも感じ取ってもらって、本当に必要な行動という形が、社会として少しずつ変わっていく流れができたらいいと思う」と答えた。

(『ABEMA Prime』より)

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