尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳の発令をめぐり、韓国が大混乱に陥っている。
そもそも「戒厳令」とは、戦争やクーデター、テロ、大災害が起こったときに、公共の秩序を保つため、行政や司法を軍が掌握して、国民の権利を制限できる超法規的な措置を指す。
今回の発令をめぐって、韓国国内では「45年前の事件」を思い出す声もある。韓国が軍事政権下だった1979年、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が側近によって射殺され、長期政権が崩壊。混乱を治めるために戒厳令が出された。戒厳令に反対する学生や市民が、南西部の光州市で大規模デモを起こし、鎮圧のために軍隊が投入された。これが数百名の死者と数千名の負傷者を生んだ「光州事件」となってしまった。
今回戒厳令が出された背景には、尹大統領の経歴が関係する。検事だった尹大統領は、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の収賄事件で捜査を指揮した手腕を買われ、2019年に検察のトップ「検事総長」に。2022年の大統領選で、政治経験が全くないにもかかわらず、僅差で勝利した。就任後は日韓問題の改善を強調してきたが、その方針に韓国国内から批判が噴出。尹大統領が率いる与党「国民の力」は、国会で過半数に足りない少数与党。2024年に行われた国会議員の選挙で与党は惨敗。国会を野党に握られ、思うような政策がとれなかった。打開策として禁じ手の戒厳令を打ち出した。
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