韓国では1948年の建国以来、歴代大統領は12人。そのうち10人もの大統領経験者が収賄、汚職などで逮捕されたり自殺したりなど、悲しい末路をたどっている。その理由を木村氏は「権力が大きすぎる。大統領が企業の生き死にを決められるため、大統領と良い関係を持とうと思う人が多くて、腐敗が生まれやすい構造だ。巨大な権限が整理されなかった問題の1つが戒厳令や大統領警護処の存在だ。まさに軍事政権の遺産といえる」と指摘する。
韓国の警察などでつくる合同捜査本部は、死刑もありうる内乱罪などの疑いで、尹大統領に出頭要請を行った。しかし尹大統領は応じず、裁判所に拘束令状を請求したが、期限までに執行できず、期限を延長して再請求を行った。一方で、弾劾が妥当か判断する憲法裁判所の裁判も、1月14日から本格的な審理が始まる予定だ。
木村氏は、今回の戒厳令は憲法違反だとの見方を示す。「戒厳令は戦争やそれに準ずる事態がある時にしか宣布できない。宣布された場合も、国会は封鎖してはいけないと明確に憲法やその他の法律に書かれている。理由は簡単で、封鎖されてしまうと、大統領の戒厳令を解除する人がいなくなるから。今回は明らかな憲法違反なので、それを理由に弾劾されている」。
大統領拘束をめぐっては、政府機関が互いににらみ合っている。韓国には捜査・起訴にあたる組織が3つあるそうだ。「警察と検察、そして文在寅(ムン・ジェイン)政権でできた“高位公職者犯罪捜査処”だ。検察は保守の強い組織で、そこが捜査権を独占していると左派が不利だとの発想から、中立機関として3つめを作った」しかし、高位公職者犯罪捜査処があったとしても、逮捕は大統領が退任してからであって、現職大統領を逮捕しに行くという状況は想定していなかったという。しかし、それをやらなければならない状況になってしまった。「大統領を捜査する側と、守る側、どちらも国家機関。それがにらみ合っているのが今の状態だ」とした。
今後どのような流れが予想されるのか。「違法行為は明らかで、弾劾は通ると思われる。3月には大統領は失職し、大統領選挙の流れにはなるだろう。ただ尹大統領の抵抗が保守派に受けて、与党支持率が劇的に戻った。大統領選が接戦になれば、両方が納得しない。今回の事態は長引きそうだ」と推察した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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