■アメリカでの給食無償化、抜群効果の事例も

パックン
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 文部科学省は、無償化に向けての“課題”も挙げている。「給食を食べられない子供」の公平性として、給食を実施していない学校や、アレルギーなどでお弁当持参している子、そして不登校で食べていない子など、約61万人の存在を指摘。また、「経済格差の是正」についても、すでに生活困窮世帯は原則無償化されているとした。ネットでは「ありがたみが薄れる」「食育に繋がらない」といった声がでている。

 福嶋氏は、「無償化の課題」は解決できると考えている。「不公平感は枠組みでカバーすればいい」として、アレルギー対応は食材費を保証(対応食を作ろうとすれば単価はあがるが…)、不登校は学校外で食べられる仕組みを(八王子では給食センター開放の取り組みも)、どうしても食べられない場合は「給付金」といった制度設計を提案する。「ありがたみ」ではなく、子どもの食の権利として保障すべきで、制度が煩雑になっても丸ごとカバーすべきだと主張した。

 とはいえ、地域によって事情は異なる。今枝氏は「離島には給食センターの設置や、弁当制の導入に課題がある」と指摘。福嶋氏は「学校給食法に『給食の実施義務』が規定されていない」として、「それは法の不備だ。いま給食を提供できていない所には、国が手助けして、無償給食が届くようにして欲しい」と願う。

 給食を食べられない子でも、「何らかの昼食は取る。その食材費分を補助できないか」とし、「『そういう子たちがいるから、無償にするのは良くない』ではなく、『どうやったら無償で届けられるか』の前向きな議論が重要だ」と語った。

 パックンは、「世界各国で給食無償化ができていて、そのほとんどはアレルギー食も用意している。日本にできないはずがない」と話す。「コロナ禍で無償化したアメリカの州では、登校率が上がり、成績やスポーツが良くなった」。

 そして、「全員に給食を出すほど公平なものはない」と指摘し、「僕もそうだったが、低所得者は申請して無償になるが、その申請が恥ずかしい。基本的に給食にするスタンスに切り替えれば、全国民が対等な扱いになる。理想郷だが、早くたどり着きたい」と期待を込めた。

■最大のポイント「財源確保」
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