【写真・画像】シャッター、シャッター…商店街の衰退は他人事じゃない!? 活性化で「コンサルに振り回される」ケースも 1枚目
【映像】ここまで減っているのか? 商店街数の推移(グラフ)
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 東京から電車で2時間ほど。長野県佐久市の十二町商店街。

【映像】ここまで減っているのか? 商店街数の推移(グラフ)

 この町で古くから自転車店を営む市川建一さん(75歳)は、町の衰退に危機感を抱いている。

「6軒繋がっているがもうサーっとシャッターで」

 かつては25軒ほどが軒を連ねた商店街。しかし、1997年に町の近くに新幹線の停車駅が開業し、客足は駅前の商業施設へ流れてしまった。

 現在、営業している店はわずか5軒ほどであり、人気のない通りにはシャッターを下ろした建物が並んでいる。

「さみしいもんです。本当に」

市川建一さん
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「やり方によっては再開発もできるんだけどね」と市川さん。

 中には倒壊の恐れがあるものの、所有者と連絡がつかず取り壊すことができない場所もある。昨年には町のシンボルであったアーケードを撤去し、再生に向けての糸口を探しているところだ。

「小さい店はどんどん淘汰されていく。周りには住宅街が出来てはいるが旧商店街は本当に空洞化している状態で、町として成り立たないような状態が続く。さみしいもんです。本当に」(市川さん)

1994年から1700以上減少

商店街数の推移
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 中小企業庁の調査によると、2021年時点で全国の商店街の数は12535であり、1994年の調査から1700以上減少している。また7割弱が衰退またはその恐れがあると回答している。

跡継ぎがいない

商店街、最近の景況
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 関西地方のとある商店街の理事長は、「なかなか跡継ぎがおらず、30年40年続いたのに閉めてしまったところはけっこう出ている。一度シャッター街として営業していない店が増える流れが加速すると、戻していくのは大変だ」と話す。

1980年代にショッピングセンターが台頭

神戸国際大学の中村智彦教授
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 地域経済が専門で、これまで様々な商店街を見てきた神戸国際大学の中村智彦教授は「20年以上仕事している中で、商店街の衰退というのは歯止めがかからない状態になっている。いよいよ喫水線のところまで来ていると。残るか残らないかという厳しい状況にある」と指摘する。

 商店街衰退の要因の一つとして、中村教授が挙げるのがショッピングセンターの台頭だ。

 かつて、ものが飛ぶように売れたという商店街。当時、大型小売店舗の出店には規制がかけられていた。しかし1980年代、アメリカの大型小売店舗の進出に伴い、日本とアメリカで協議が行われ、この規制が緩和されることになった。

 中村教授は「結果的に郊外に大型小売店舗が進出できるようになった。当然ながら当時よりもより一層人口が減っている。そこに大きな売り場面積ができれば、中心部の商店街は衰退していく」と説明する。

 また、このほかにもネット通販の普及や車社会になったことが要因に挙げられると指摘する。地方都市であれば車で買い物に出かけ、むしろ駅前の商店街に足が遠のいてしまうという。

高齢化で郊外の大型小売店舗も閉店?

活性化に取り組む商店街も
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 こうした中、空き家を再活用したり、国や自治体の補助金を利用するなどして活性化に向けて取り組む商店街も多く存在する。

ABEMAヒルズ』の取材に対し中小企業庁は「商店街内の若手や女性等が中心となり、新たな商店街活動に挑戦する動きや、関係者と広く連携しながら来街者の増加や魅力向上等に繋がっている取組も各地で生まれてきている」と回答。

 一方で、町によってはその新たな挑戦が難しい理由もある。

 長野県佐久市の市川さんは「最初の構築時点から店舗兼用の作りにしている。ほとんどの既存の建物は、建物の中に入らなければ二階に上がれない住居兼用だ。下だけ貸しても、二階に上がるには改めて外階段を作らなきゃ入れない」と説明。

 また商店街によってはこんなケースも。

「70年代〜90年代ぐらいまでは、年末になると置いたものが片っ端から売れて、かなり蓄財している。儲かった分で近所のアパート・マンションを所有したような方は、正直なところ生活に困っていない」(中村教授)

 その上で中村教授は、商店街の衰退は私たちの生活にも影響があると懸念を示す。

「一番恐ろしい状態は、地域の高齢化により郊外の大型小売店舗が閉店することだ。大型店舗によって商店街は衰退し廃業しているとなると買い物に行くところがなくなってしまう。これから日本は高齢化していくので、地方の商業をどう残していくのかが、非常に大きな問題になる」

商店街は“未来の大企業”を育てる

商店街
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 国は衰退する商店街に対してどのようなスタンスなのか?

 中小企業庁は「商店街は地域コミュニティの担い手として商業機能のみならず、地域の雇用や生活関連サービスなど生活に不可欠な昨日を担う重要な存在」として商店街活性化に取り組む方針だという。

 厳しい局面に立たされている商店街だが、“ならではの良さや強み”もあるはずだ。

 ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介氏は「例えば谷中銀座とか砂町銀座商店街のような“味のある商店街”は町の雰囲気を形作ってくれる。機能だけで測ると『通販で何でも買える。何のためにあるの?』となってしまうが、そうではない部分で勝負していくしかない」と述べた。

 中村教授も「商店街のインキュベーション(卵の孵化)の役割」にも注目する。

「人は商売を始める時にショッピングモールではなく商店街を選んでゆっくりと育てる傾向になる。そんなインキュベーションの役割が失われてしまうことは“未来の大企業”が生まれてこないことになってしまう」

「変えるのであれば私が死んでからしてほしい」

空き店舗のままである理由
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 国も守っていこうとしている商店街。だが実は商店街の店主にもさまざまな事例がある。

 ある関西地方の商店街の理事長は「『私はもうあと何年かで商売を辞めるから、新しいことは始めたくない』とか『お金のかかることはしたくない』『変えるのであれば私が死んでからにしてほしい』という人も少なくない。そんな人たちは自分が家主でお金もかからないから、今の状態で『死んだら後は知らない』というような個人主義が多い」と実情を打ち明けてくれた。

商店街の再生に欠かせないもの

シャッター商店街 再生のケース
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 様々な事情を抱えた商店街。“再生”できたケースはあるのだろうか?

 名古屋市の円頓寺商店街は、空き家の店舗と大家と開業希望者のマッチングサービス「ナゴノダナバンク」を設立。20数店舗から38店舗に増えた。建築家の市原正人代表は「貸す気のなかった空き家の持ち主に対し『誰がどういう商売をするのか』『収益がどの程度出るのか』など丁寧に説明した」という。

 三重・名張市の上本町サンロード商店街は、2023年老朽化に伴いアーケードを撤去したが、その後、スマホをかざすことで見られるARを制作。発起人の富永憲秀さんは「解体が決まったアーケードをカタチとして残したいと企画した。ARを活用した取り組みができれば」と語った。

 中村教授は「再生している商店街には“キーマン”がいるが一筋縄ではいかない」と指摘する。

「よく『どうしたらいいですか?』『キーマンはどこから呼んでくるんですか?』などと言われるが難しい。本当に偶然、たまたまそこにいらっしゃった方、あるいは地域の役人の方など、熱心な方が一人いることで大きく変わることがあるのだ」

 もう一点、中村教授は商店街の再生には「商店街や地域を全体的にどんな場所にしていくのかというグランドビジョン」が欠かせないと強調した。

「日本はグランドビジョンを描いていないことが多いが、例えば『あえてレストランやアパレルを近くに集めてショッピングモールのようにする』など、大きい画や理念が必要になってくる」

 現状に対し、中小企業庁は「商店街を核とした個性と多様性を伸ばし、エリア価値(魅力)を高めていかないと商店街の活性化が難しい局面を迎えている状況。自らこういうことのできる商店街は実態的に少なく外部専門家の支援が不可欠」としている。

「補助金でコンサルだけ活性化させても意味がない」

東京の有名大手コンサルなら大丈夫?
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 これに対し、中村教授は「コンサルや外部専門家を呼ぶこと自体は悪くない。とはいえ、コンサルが言った通りにやるのはおかしい。コンサルは使うものであって使われてはいけない。中には電子通貨やアプリを勧めてくるケースなどもあるが、場合によっては補助金が都市部にUターンしてしまう。地元の方たちが自分たちで考えて『こんなふうにしたい』というビジョンがないと振り回されてしまう」と注意を促した。

 では、これからの商店街はどんな形になっていくべきなのだろうか?

 中村教授は「やはり個人商店の強みは、いろんな会話をしながら地域のコミュニティの中で商売する中で築かれる人と人との繋がりであり、これを大事にしていくのが原点だろう」と述べた。

 神庭氏は「ショッピングセンターや通販は全国どこにでもある“入れ替え可能”なもの。本当に大事なのは “入れ替え不可能”な街の雰囲気、たたずまいだ。商店街の活性化というが、補助金でコンサルだけ活性化させても意味がない。何を活性化させたいのか? その中身を問い直すことが重要だ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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