【写真・画像】“選択的夫婦別姓”が再過熱しているワケ…野党は“自民揺さぶり”の思惑も 政治ジャーナリストが解説 1枚目
【映像】自民党内の慎重派VS推進派(図で解説)
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 このところ“選択的夫婦別姓”の議論が活発になっている。                       

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 高市早苗前経済安保担当大臣が顧問を務める「保守団結の会」や、安倍晋三元総理が会長を務めていた自民の議員連盟「創生日本」が会合を行った。結婚前の名前を仕事や生活の中で使いやすくする「旧姓の通称使用」の拡大を進める一方で、夫婦別姓制度そのものは認めない考えだ。

■自民党内で割れる“選択的夫婦別姓”

 なぜ今、慌ただしく動き始めたのか。政治ジャーナリストの青山和弘氏は、その理由を解説する。

「予算成立後は、選択的夫婦別姓がテーマになるからだ。立憲などが法案を提出すれば、少数与党の中、採決まで持ち込まれる可能性も十分ある。となると自民党議員の対応が問われることになる。参院選でも大きなテーマになるため、導入に慎重派の自民党議員たちが、党内の動きをけん制しようと動きを活発化させている」(青山和弘氏)

 自民党のトップである石破茂総理は、かつて「個人的には積極的な姿勢を持っている。しかしながら我が党において、いろんな議論があるので、総裁として『いつまでに』と断ずることはない。議論をさらに煮詰めて、選択的夫婦別姓についての方向性を示していきたい」(2024年9月10日)と前向きな発言をしていた。

 しかし青山氏は、「『言いたいことは言う』と公言していた石破総理は、総理になる前のどの発言を信じたらいいのか分からないほど、何もできず、周囲の声におもねるようになった」と指摘する。

 選択的夫婦別姓の導入に前向きな自民党議員は、三原じゅん子女性活躍担当大臣や、小泉進次郎元環境大臣、岸田文雄元総理のように、石破総理以外にも一定数いる。自民党内が二分する現状に、青山氏は「もちろん慎重派の議員も、男女平等を求める声を無視できない状況なのは間違いないが、一定数いる“岩盤支持層”と言われる保守層を、参院選を控えた今、逃すわけにはいかないのが本音だ」と解説する。

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 そもそも選択的夫婦別姓とは、どのようなものなのか。法務省の定義によれば、正確には「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」と言い、夫婦が望めば結婚後も、夫婦がそれぞれ結婚前の「名字(氏)」を称することを認める制度を指す。現行の民法(750条)では、結婚すると夫婦どちらかの名字にすることが定められていて、その95%が男性側の名字を選び、女性側が名前を改めている。

 日本で夫婦同姓が定められたのは、明治31(1898)年のことで、家庭での夫の権限が強い「家父長制」が法律でも保障された時代だった。戦後、明治時代の「家制度」などは廃止されたが、民法では「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と夫婦同姓は継続となった。

 1991年に法務省の法制委員会が婚姻制度の見直しを審議し、1996年と2010年に選択的夫婦別姓導入を目指す民法改正案が準備されたが、国民にさまざまな意見があるとして、国会へは提出されなかった。

 2015年には「夫婦別姓での結婚が認められないのは憲法違反だ」として損害賠償を求めた裁判で、最高裁大法廷では、男性側の名字が圧倒的に多いこと、それについて不満の声があることは認めつつも、現在の制度自体は「合憲」と判断した。しかし裁判官15人中、5人が違憲であると意見。制度自体の運用は「時代の流れ、国民の声に沿うべきもの」として、国会審議に委ねた。

 これに日本弁護士連合会(日弁連)は、誰もが改姓するかどうかを、自ら決定して婚姻できることが、個人の尊厳、法の下の平等、婚姻の自由を保障する憲法の理念に沿うものだとして、早期の導入を訴えた。

 青山氏は、「この問題は日本伝統の価値観を守りたい勢力からすると、あまり触れたくない問題。いわゆる塩漬け状態が続いたが、去年無視できない申し入れがあった」と話す。それは自民党最大の支援団体である、日本経済団体連合会(経団連)だ。女性が海外でのビジネスを行う際に支障が出かねないとして、選択的夫婦別姓導入に向けた早期の法改正を、推進派の自民党議連に提言したのだ。

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