■なぜ導入に慎重?保守派の考え

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 それでも導入に反対、もしくは慎重な議員は、なぜ前向きでないのか。高市氏は「日本の戸籍制度は、世界に例を見ない、世界に誇れる見事なシステムだ。例えば20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で、居住用不動産を贈与した場合の配偶者控除の制度も、戸籍によって、ちゃんと20年以上婚姻関係があるとわかる。そうすると『他国には例を見ない戸籍制度だから廃止すべきだ』ではなく、『他国に誇れる優れた制度だから守り抜くべきだ』と考えている」と語った。

 また、小林鷹之元経済安保担当大臣も「確かに大人はそれでいいかもしれないが、その後結婚して子が生まれてくることは当然ある。そうすると別々の姓になる。片方の親と子どもで姓が異なる。世論調査を見ても、例えば兄弟姉妹の中で姓がバラバラになってしまうことに対して、懸念を持っている人は相当程度まだいる。子どもの立場に立った上で、選択的夫婦別姓制度を進めることが本当に良いのかどうか。そこはまだ議論すべきなのではないか」との立場を取る。

 こうした議論の中で、浮上してきているのが「旧姓の通称使用の拡大」だ。青山氏は「選択的夫婦別姓は前の姓を残すため、慎重派が折衷案として中間派的なものを言っている。旧姓、前の名前を“通称”という形にして、日常的に使うことを広げていく。今ではマイナンバーカードにも、前の名前を載せられ、それで銀行口座を開くこともできる。こういうことを法的にも認めて、どんどん通称を使うことを認めればいいじゃないかという主張だ」と説明する。

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 しかしながら、問題点はある。AZ MORE国際法律事務所 大阪事務所所長・中川みち子弁護士は「金融機関では戸籍名と通称名が同一人物であることを証明するために戸籍を提出せよと言われる」「社外取締役の登録は通称名(旧姓)だけでの登録は不可。なぜ仕事先が知らない戸籍名(本名)で登録せねばならないのか」「役所関係の仕事では戸籍名を書くことが求められることがあるが、印鑑は通称名での印鑑でいいのかを毎回確認が必要」などの課題を示す。

 また、青山氏は「海外に行ったときに、パスポートは本名が基本。今は通称も書いてあるが、名前が2つあること自体、海外では非常にいぶかしがられる。海外は『同一の姓にしなければいけない』という、日本のような制度を取っている国がない」との現状にも触れる。

■なぜ再過熱した?野党の“自民揺さぶり”も?
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