佐藤眞理さん(26)
中古で買った軽バンで旅をしながら、フリーランスのデザイナーとして生計を立てている佐藤眞理さん(26)。そんな彼女も一度は会社員として働いたことがある。「“普通”に大学に行って、“普通”に就職して、“普通”に結婚する...そういう人生になるんだろう」。そして入社から4カ月、彼女は会社を辞め、同時に家をも手放した。
なぜ彼女は旅を続けるのか。不透明な時代を生き抜こうともがきながらも力強く生きる現代の若者の姿を追った。
■定職と家を手放した、26歳の軽バンガール
眞理さん
会社を辞めてから、フリーランスになり、軽バンで旅をしている眞理さん。「何のために生きているんだろうってずっと思っていた。大学行って、普通に就職して、普通に結婚して。そういう人生になるんだろうなと思っていて」。
およそ30万円で購入した中古の愛車。1畳ほどの空間を、DIYで住みやすく進化させた。「上が天井収納になっていて。(カーテン代わりに)お気に入りのハンカチで部屋感を出したりとかして。後ろ窓は目隠しができる」。
この時、眞理さんが滞在していたのは長崎県の離島、壱岐(いき)。「浄化される。日常からストレスを溜めたくない。“楽しく生きていきたい”が根底にあるから」。この「日常」にこだわるのにはワケがあるという。
入社初日の眞理さん
かつて、新卒で人材派遣会社に勤めていた眞理さんは、営業で外回りを続ける毎日を過ごしていた。「新卒で入ったのが私1人で、結果出さないと申し訳なくて。もしかしたら向いてないのかなと思いながら働いていた」。
入社して間もなく、その生活に抱いた違和感。「場所と時間に縛られることに対しての拒絶反応がすごく強くて。月曜から金曜、週5で同じ時間に起きて、メイクして、同じ電車に乗って。それを繰り返すのは結構しんどかった」。
情緒が不安定になり、体調も悪化。入社からわずか4カ月で退職を決意した。さらに、住んでいた都内のアパートも引き払ったという。「自分のことを誰も知らなくて、自分が行ったことなくて、遠いところ行きたい、みたいな」。
退職後、たまたま目にした長崎県にあるゲストハウスの求人に応募し、住み込みで働くことになった。「綺麗な景色を見て感動する経験をしたから、もっと楽しんで生きていこうという気持ちになってきて」。こうして、軽バンで旅をしながらフリーランスとして働く生活が始まった。
■フリーランスならではのコミュニティ


